国立天文台、巨大電波望遠鏡ALMAの実現に向け署名を募集中

【2001年7月18日 アストロアーツ】

国立天文台は、アメリカ国立科学財団 (NSF) およびヨーロッパ南天天文台 (ESO) との協力の下、南米チリ北部のアタカマ砂漠に巨大電波望遠鏡「アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計 (ALMA; アルマ)」を建設する計画を進めている。3つの機関が対等な立場で共同建設・共同運用を行なう、21世紀にふさわしい真の国際共同プロジェクトである。2002年建設開始、その数年後に一部の運用開始、そして2012年の完成を目指す。

ALMAの完成イメージ (合成写真)
チリ・チャナントールにおけるALMAの完成イメージ (合成写真)

ALMAは直径12メートルの可搬型アンテナ64基を中心とする巨大な干渉電波望遠鏡で、その集光力は既存のサブミリ波望遠鏡の40倍以上である。その角分解能はなんと0.01秒角で、これは従来のミリ波干渉電波望遠鏡に比べて約100倍、ハッブル宇宙望遠鏡 (HST) に比べても約10倍という優れたものだ。

「すばる望遠鏡」などの可視光望遠鏡は、誕生した星や銀河の姿をとらえることができる。しかし、その原料となる冷たいガス雲の姿をとらえることはできない。この可視光では見ることのできない、星や銀河の原料の姿を描き出すことが、電波望遠鏡の役目である。

世界最大の電波の目となるALMAが実現すれば、銀河・恒星・惑星の誕生プロセスについての理解が大きく進むことは間違いない。また、約150億年という宇宙の歴史の中での物質の進化のプロセス――星の死と誕生の繰り返とともに複雑さを増し、やがては私たちのような生命を生み出すに至った――を追うことは、宇宙における人類の位置付けについての再発見をもたらすことだろう。それは、科学の分野にとどまらず、人類の意識を変えることにつながるかもしれない。

ALMAは、「21世紀ルネサンス」とも呼ぶべき新しい文化の高まりの起爆剤となる可能性を秘めた、夢あふれるプロジェクトなのである。

国立天文台では、国民の理解と協力の下にこのプロジェクトを推し進めるため、広く一般の方より署名を募集している。署名は次のインターネット・ウェブページより行なうことが可能だ。このプロジェクトに賛同して頂ける方は、ぜひ署名を行なってほしい。

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