リニア彗星見え出す

【2001年6月28日 国立天文台天文ニュース (453)

注目のリニア彗星(C/2001 A2 LINEAR)が、日本でも見え出しました。

天文ニュース (442) でリニア彗星が分裂、増光したことをお知らせしました。その後、もっとも明るいときは3等台の明るさで観測され、このリニア彗星は今世紀で最初の肉眼彗星になりました。しかし、これまではずっと南天にあったため、南半球の観測者からの報告はありましたが、日本から見ることはできず、彗星観測者をやきもきさせていました。

しかし、彗星はしだいに北上し、6月下旬になって「日本から見えた」という報告が届くようになりました。「以外に明るく、3等くらいに見えた」とか、「写真に撮影した」などの話もぽつぽつ聞こえてきています。

近日点はすでに通過しましたが、この彗星が地球にもっとも近付くのは6月30日で、距離は0.244天文単位です。6月28日現在、リニア彗星は「くじら座」にあり、明け方の東南東の空に昇ってきます。明るさは4等程度でしょうか。いまのところ、見やすい高度になると夜が明けて明るくなってしまいますが、彗星は今後急速に北上しますから、日に日に高度が高まり、位置的には見やすくなります。しかし、彗星はしだいに暗くなり、また明るい月が残るようになりますから、その点では彗星が見にくくなります。比較的条件がいいのは、7月5日ころまでの月が沈んだあとの時間帯でしょう。梅雨の最中ですから、晴れ間を探し、実際に彗星を見るのには、かなり努力が必要になるかもしれません。

MPEC 2001-K14による彗星の位置と、明るさの目やすは以下のとおりです。


日付      赤経(2000.0)赤緯  地心距離  日心距離  太陽離角  明るさ
2001      時   分   度   分       AU        AU       度       等
June 30    0 52.10  -6 42.0    0.244     1.041     89.0      4.1
July  2    0 28.82  -3 07.8    0.245     1.065     94.8      4.2
      4    0  6.02  +0 23.3    0.249     1.090    100.5      4.4
      6   23 44.05  +3 43.8    0.256     1.115    106.1      4.5
      8   23 23.15  +6 48.0    0.266     1.141    111.3      4.7
     10   23 03.50  +9 32.4    0.279     1.166    116.1      4.9
     12   22 45.21 +11 55.5    0.294     1.192    120.4      5.1

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