C/2001 A2 リニア彗星、ついに4等級に!

【2001年6月7日 アストロアーツ】

話題のリニア彗星 (C/2001 A2) が、ついに4等級にまで増光した。NASAのComet Observation Home Pageに寄せられたTerry Lovejoy氏 (オーストラリア、クイーンズランド州) の報告によると、6月4日 (世界時) の彗星の全光度は4.2等級。明るい満月があり、しかも低空であったにも関わらず容易に肉眼で確認できたという。尾に関しては、満月の影響で見えづらかったが、10倍50mmの双眼鏡で1度少しの尾が確認できたということだ。

C/2001 A2 リニア彗星

Terry Lovejoy氏による5月24日 (世界時) のリニア彗星。なんと長さ8度以上もある尾がとらえられている。135mmF3.5レンズ (200mm相当にトリミング)、コダック400カラースライドフィルムで撮影しモノクロ化、世界時5月24日9時20分〜10分間露光。なお、このときは10倍50mmの双眼鏡でも5度ほどの尾が確認できたということだ。

(→ Terry Lovejoy氏のウェッブサイト)

今回のリニア彗星は、2001年1月の発見当初は最大光度が10等程度と予報されていたが、太陽接近にともなって核が分裂したことにより急増光を見せている。現在は「エリダヌス座」中部にあって日本からは見えないが、6月下旬には日本でも明け方の東の空に見えるようになる。すでに5月25日に近日点を無事通過し山は越したため、今後は現状の光度を保つと考えられる。日本でも21世紀初の肉眼彗星となることを期待したい。もっとも、これまでの急激な増光により力を使い果たしてしまい、急減光に転じる可能性も否定できないので、今後の動向に注意してほしい。

今回のリニア彗星は、ダスト成分が少なく、緑がかった色をした細長いイオンテイルを持つのが特徴だ。いわば、「ミニ百武彗星」ということもできる。百武彗星 (C/1996 B2) は、1996年3月末に地球に接近し、100度以上もある長大な尾をたなびかせた。核の分裂により増光した点も似ているといえる。本家百武彗星には遠く及ばないものの、充分に明るいため、朝焼けの中でも充分写ると考えられる。朝焼けと彗星を同時にとらえるチャンスはめったにないので、ぜひ狙ってみて欲しい。その場合問題になるのは露出だが、低空が赤みを帯びるぐらいの明るさであれば、自動露出+多段露光で大丈夫だろう。露出時間は短くて済むので、固定撮影で充分だ。

なお、現在発売中の弊社刊・月刊『星ナビ』7月号に、リニア彗星の小特集がある。そちらもぜひ参照してほしい。

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