極超新星か? 明るくなりつつある超新星2001bb

【2001年5月2日 VSOLJニュース (055) 2001.05.02】

近年、超新星の世界を賑わしているひとつに、極超新星(hypernova)と呼ばれる現象があります。特に、波長がごく短い電磁波であるガンマ線が数十秒間強く放たれるガンマ線バーストと同方向に、極超新星が発見された例があり(SN 1998bwとGRB 980425)、ガンマ線バーストの一機構として注目されています。昨日発見された超新星2001bbも、スペクトル観測から、極超新星の可能性が言及されており、これからの光度やスペクトルの変化が注目されます。

超新星2001bbは、Lick天文台の超新星探索チームと共同で超新星探索を行なっているM. Schwartzさんが、4月29.3日(世界時、以下同様)に、うみへび座の渦巻銀河IC 4319に発見されたものです。有名な渦巻銀河M83の1度強東にあたります。超新星の位置は、赤経13時43分25.31秒、赤緯-29度48分13.1秒で、母銀河の中心核から西に17秒角、南に1秒角ほどにあたります。中心核の西南西30秒角ほどのところに、14等ほどの前景(銀河系内)の星があり、超新星はこの星と中心核のちょうど中間にあります。発見画像は、

http://astron.berkeley.edu/~bait/2001/sn2001bb.html

で見ることができます。

発見時の明るさは16.5等で、翌日の確認時には16.3等、またイタリアのS.Massaroさんが30.9日に撮影した画像では15.8等ほどと、着実に明るくなっているところです。また、スペクトルが撮影され、水素の線が見えないところから、この超新星はI型であることがわかりました。しかし、典型的なIa型に見られる深いケイ素の吸収が弱く、サブクラスの判定はまだできていません。これは、極超新星や、通常よりも明るいIa型超新星の特徴に似ています。この銀河に典型的なIa型超新星が現われると、極大等級は15.6等ほどと期待されますが、それよりも明るくなるかもしれません。今後の光度変化を追いかけることが強く望まれます。USNO_A2.0星表を用いた比較星図が、

http://www.ggw.org/asras/snimages/reference/i4319.jpg

に用意されています。

著者 :山岡均(九大理)
連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp

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