イリジウム事業、サービス再開

【2001年4月3日 アストロアーツ】

経営破綻した米イリジウム社の資産を受け継いだ米イリジウム・サテライト社の手により、低軌道を巡る多数のイリジウム衛星群による衛星携帯電話サービスが再開されている。 (→ HOT WIRED JAPAN NEWS)

天文ファンの間では、イリジウム衛星は「イリジウム・フレア」と呼ばれる発光現象で有名だ。「フレア」とは、通信アンテナや太陽電池パネルに反射された太陽光が直接地上の観測者から見られる現象のことだ。イリジウム衛星は太陽光を鋭く反射する金属製の平面通信アンテナを3枚持ち、さらに60基以上と数が多いため、フレアがかなり頻繁に見られる。また、その明るさはときには金星よりもはるかに明るくなることがあり、なかなか見ごたえがある。

イリジウム衛星は、姿勢制御が厳密になされているため、フレアの発生が予報可能であり、インターネットにはイリジウム・フレアの予報を提供してくれるサイトがいくつか存在する。それらの予報を利用してイリジウム・フレアを見ることを楽しんでいるファンも少くない。特に、都会でも容易に見られることから、都会の天文ファンには人気が高く、習慣的に楽しんでいるようなファンも少なからず存在するようだ。

一方、イリジウム・フレアは天体写真を撮影中に、偶然にしかも中途半端に写り込んでしまうことが少なくなく、天体写真ファンの間では天体写真の見栄えを害する邪魔者として敬遠されている。

さらに、イリジウム衛星が通信に用いる電波の波長は、電波天文学で用いる1612メガヘルツ帯と干渉するため、電波天文学者たちからは抗議の声も上がっていた。

一度は、全基破壊の寸前にまで追い込まれたイリジウム衛星群だが、良くも悪くも、世界の空からいなくなってしまうことは当分無さそうだ。

<イリジウム・フレアの可視予報が得られるサイト>

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