2億5000万年前の生物の大量絶滅は小惑星か彗星の衝突が原因

【2001年2月23日 ワシントン大学ニュース (2001.02.22)

古生代と中生代の境界にあたるおよそ2億5000万年前、地球上の陸地が「パンゲア」と呼ばれるただひとつの大きな大陸であったころ、大量の生物種が一度に絶滅する大事件が起こった。これは、8000年から10万年程度の短期間のうちに海洋生物種の90%、陸上の脊椎動物種の70%が失なわれるという大規模なもので、6500万年前の恐竜の絶滅事件を上回る、地球の歴史上最大の大量絶滅事件として知られる。

この謎に満ちた事件に対し、ワシントン大学やNASAの共同研究チームが、その原因はキラー天体 (小惑星または彗星) の衝突であったという証拠をつかんだ。研究チームによると、そのキラー天体の大きさは、直径6〜12キロメートル程度 (恐竜の絶滅の引き金になったものと同程度) と推定され、衝突そのものが大量絶滅の直接的な原因ではないものの、それは大規模な火山活動を引き起こし、また海中の酸素濃度や海面の高さ、気象などに深刻な影響を与え、環境の変化に適応できなかった生物種は次々に滅び去ったという。

研究チームは、日本、中国、ハンガリーなどにある古生代と中生代の境界の時代の地層のうち、まさに2億5000万年前に対応する部分から、フラーレンと呼ばれる特殊な炭素分子を、通常では考えられないほど多く検出した。その前後の時代の地層からはフラーレンはほとんど検出されなかった。

フラーレンは、60個またはそれ以上の炭素原子がサッカーボール状につながった分子で、中空になった内部には、他の原子がとらえられていることがある。研究チームが地層から発見したフラーレンには、希ガスであるヘリウム、アルゴンがとらえられていた。

そのフラーレンに含まれるヘリウムは、特殊な同位対比率を持っていた。地球のヘリウムはほとんどがヘリウム4で、ヘリウム3はごく少ない。しかし、地層から検出されたフラーレンにとらえられていたヘリウムは、ほとんどがヘリウム3だった。このことからそれらのフラーレンは地球外起源のものに違いなく、キラー天体の衝突によりもたらされたのものだろうと結論された。

ただし、キラー天体の衝突地点については明らかになっていない。

2月23日発売のイギリスの科学誌『Nature』に詳しい発表が掲載される。