彗星の故郷「オールトの雲」は、通説よりずっと過疎らしい

【2001年2月2日 BBC News (2001.01.31)

彗星の故郷として知られる「オールトの雲」に存在する氷の小天体は、これまでの予想よりはるかに少ないらしいことがわかった。

「オールトの雲」は、太陽から0.5光年〜1光年の距離を球殻状にとりまく、氷の小天体が散在する領域。このオールトの雲は、太陽系の形成期に、木星・土星・天王星・海王星などの大惑星の近くをかすめた小天体が、大惑星の重力により投げ出されて形成されたと考えられている。

サウス・ウエスタン総合研究所 (アメリカ・コロラド州) のAlan Stern氏とNASAジェット推進研究所 (アメリカ・カリフォルニア州) のPaul Weissman氏らは、重力の影響に加え、小天体どうしの衝突という要素を組みこんだコンピュータ・シミュレーションを行なった。その結果、原始太陽を取り巻く降着円盤の中で形成された氷の小天体は、ほとんどの場合は形成後間もなく他の同種の天体と衝突して破壊されてしまい、重力により投げ出され得たのはごく少数らしいということがわかった。

詳しい研究成果は『Nature』誌に掲載されている。