NASAの新しい科学観測用高層気球、もうすぐテスト飛行

【2001年1月12日 NASA RELEASE: 01-03

大気圏上層を飛ぶULDB (想像図)

大気圏上層を飛ぶULDB (想像図)
提供=NASA

NASAの新しい科学観測用高層気球が、もうすぐテスト飛行にのぞむ。

この気球は、「超長期滞空気球 (Ultra-Long Duration Balloon; ULDB)」と呼ばれるもの。単一の気嚢 (きのう=空気室) から成るものとしては過去最大であり、完全にふくらむとドーム式球場にちょうど収まるぐらいの大きさのかぼちゃ状になる。積載容量は約1,600キログラムで、高度35キロメートルという超高空――大気の99%よりも上――を、最大100日間に渡って滞空しつづけることができる。

高層気球は、宇宙空間の近くから宇宙や地球を観測するための低コストな手段として、長く用いられてきた。しかし、旧来のものでは、昼と夜での大きな温度差により気嚢内のガスが膨張・縮小する際に、気嚢の下部からガスが漏れるため、高度を失うのが早く、飛行期間は2〜3日から1週間程度に限られていた。また、高度の制御はバラスト (重り) を適時切り離すことで行なうため、一定の高度を安定して保つこともできなかった。

ULDBでは、気嚢を超高圧の完全密閉式とすることでガス漏れを無くしており、長期間の飛行を実現した。そして、気球の状態に及ぼすあらゆる要素を考慮した高度な設計により、昼夜共に一定の高度を安定して保つことができるようになっている。また、バラストの必要が無いため、その分だけ積載容量を稼げるのも特長だ。

テスト飛行では、オーストラリアのアリススプリングスから1月16日に離陸し、約2週間飛行して南極地方の上空を周回飛行することになっている。

将来的には、超新星爆発の衝撃波により放出される宇宙線の観測、X線観測、太陽系外惑星の検出などの用途に用いられる予定だ。

<リンク>