木星に接近中のカッシーニ探査機にトラブル 現在は復旧

【2000年12月22日】

12月17日、現在木星に接近中の土星探査機「カッシーニ」 (NASA/ヨーロッパ宇宙機関/イタリア宇宙機関の共同) の姿勢制御用の電動はずみ車のひとつにトラブルが生じ、姿勢制御が自動的にはずみ車から小型ジェットに切り替わった。これを受け、NASAでは探査機のメインの目的である土星探査のために小型ジェットの燃料を温存するため、20日から一時的に木星の探査活動を停止した。そして21日のNASAの発表によると、はずみ車のトラブルは復旧された。

カッシーニは、4基の電動はずみ車を搭載している。うち1基は予備。姿勢制御のためには、3基のはずみ車が必要。

今回のトラブルは、カッシーニの第2はずみ車の回転に必要な力が通常より大きくなったというもの。この問題は17日に発生し、問題を検知したカッシーニのシステムが姿勢制御をはずみ車から小型ジェットに自動的に切り替えた。翌18日に行なわれたテストでは、はずみ車を低速回転する際に通常より大きな力が必要だが、高速回転時は問題無いという状態だった。その後、19日と20日のテストでは問題は発生しなくなった。

この問題の原因についてはまだはっきりわかっていないが、なんらかの小片――おそらく、はずみ車のモーターの磁石から生じたもの――が詰まった可能性などが指摘されている。

現在カッシーニはメインアンテナを地球に向けた姿勢で飛行中。NASAでは問題を楽観視しているが、念のためはずみ車の状態をもうしばらく見守る必要があるとして、少なくともあと2〜3日程度は観測活動の再開を控える。

カッシーニは木星の重力を利用したスイングバイ航法により土星へ向かう加速を得るため木星に接近中で、10月から木星探査機「ガリレオ」(1995年より木星系を探査中) と共同で木星の探査活動を行なってきた。カッシーニは12月30日に木星に最接近する予定。