土星の衛星をさらに発見

【2000年12月21日 国立天文台天文ニュース (402)

引き続いて土星に衛星が発見されています。これまでに報告された衛星に、過去の発見と重複がないとすれば、土星に発見された衛星の総数は29個に達します。

天文ニュース (388) および (396) で24個目までの土星の衛星発見をお知らせしました。この19個目以降の衛星を発見したコート・ダジュール天文台のグラッドマン (Gladman,B.) に率いられたチームは、さらに5個の土星衛星の発見を報告しています。発見、確認に使用した望遠鏡は、ハワイ、マウナケア山の口径3.6メートル、カナダ・フランス・ハワイ望遠鏡、チリ、パラナル山の口径8メートル、VLT-UT1望遠鏡、パロマー山の口径5メートル望遠鏡、F.L.ホイップル天文台の1.2メートル望遠鏡などです。発見された衛星には、それぞれS/2000 S7、S/2000 S8、S/2000 S9、S/2000 S10、S/2000 S11の認識符号が付けられています。

今年発見されたS/2000 S1以降のこれらの衛星は、一応それぞれ独立した新衛星であろうと思われてはいますが、いまのところ、すべてが別々で、また確実に土星の衛星であると完全に確認されたわけではありません。確認のためには、今後の観測によってそれらの軌道を確定する必要があり、引き続き観測がおこなわれています。

ここ2年ほどの間に、木星、土星、天王星につぎつぎと衛星が発見されました。これは大口径の望遠鏡が比較的容易に使用できるようになったこと、またCCDなど高能率の受光素子が発達したことなどによるものです。いまの状況から考えますと、木星から海王星にいたる4個の巨大惑星に対し、衛星の発見がこれで終わりになったわけではなさそうです。

これらの惑星に発見されている衛星の数は、いまのところ一応、

    木星18個、土星29個、天王星21個、海王星8個

になります。ボイジャー2号の探査の際、1985年から86年にかけて天王星に10個の衛星が発見されています。これは上記の表に含まれていませんが、実をいえば、そのうちのいくつかは1999年以降にグラッドマンたちが発見した天王星の衛星と重複しているのでしょう。それらのはっきりした対応はわかっていません。

<参照>

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