2001年火星ランダーを救え

【2000年10月2日 SPACE.com (2000.10.1)

中止となったNASAの火星探査機「マーズ・サーベイヤー2001ランダー」を救うため、コネチカット州の小さな航空宇宙エンジニアのグループ(代表:Harrison Quigley氏)が、ウェブサイト「Save The Mars Lander」を立ち上げた。

彼らの主張は次の通り。

NASAは当初、2001年に火星へ向けオービター(軌道周回機)とランダー(着陸機)の2機の探査機を打ち上げることを計画していたが、1999年末に「マーズ・ポーラー・ランダー(MPL)」が火星着陸に失敗したことを受け、NASAは2000年3月末、ランダーの計画の中止を決定した。これは、2001年のランダーの設計がMPLと基本的に共通であるためだ。

2001年の火星探査プロジェクトに費やされた費用はすでに3億ドルに上る。これはオービターとランダーの2機分の開発費であり、単純に2で割るとランダーの開発には1億5000万ドルが費やされていることになる。そしてそのランダーは完成しており、充分なテストも終えた完全な状態でコロラド州デンバーのロッキード・マーティン社に鎮座している。MPLの失敗の事後調査で判明した、失敗の原因となり得るあらゆる要素は充分に対策済みであり、打ち上げを中止する理由はどこにもない。

もしNASAがランダーの中止を取り消さない場合、この完成されたランダーはゴミとなってしまう。ランダーの部品はどれも2001年のランダー専用のものであり、後の探査機に流用できるものは少ない。

Save The Mars Lander」では、「マーズ・サーベイヤー2001ランダー」に関するあらゆる情報を提供した上で、彼らの主張への賛同者の署名を集め、公開している。

だが、彼らの努力は無に帰すかもしれない。

NASAは今後1か月のうちに、改訂版の今後10年を超える長期火星探査計画を公表するが、2001年のランダーのハードウェアに関するNASAのスポークスウーマンDolores Beasley氏によると、「2001年のランダーのこれまでの成果の使い道については今なお探っているところですが、それは現在の形ではなくなる可能性があります」とのこと。

2001年のランダーに搭載の科学観測装置は長期計画のいずれかの時点で別の探査機に搭載されて火星へ向かうことになるが、ランダー自体は火星へ向かうことはないのかもしれない。

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