次世代スペースシャトル試験機「X-33」、開発継続へ

【2000年10月2日 NASA RELEASE: 00-157 (2000.9.29)

NASAは、燃料タンクの設計上の欠陥から開発が頓挫している次世代スペースシャトルの試験機「X-33」について、初飛行を2003年に延期した上で開発を続行することでロッキード・マーティン社と合意に達したと発表した。

「X-33」は、スペースシャトルに代わる次世代再利用型宇宙往還機「ベンチャースター(VentureStar)」の1/2スケールの無人試験機。ベンチャースターはスペースシャトルと同様に垂直離陸し、滑走路に水平着陸するが、スペースシャトルとは異なり、打ち上げ時に補助燃料タンクや補助ロケットを必要とせず、はるかに低コストでの打ち上げが可能となる。現行のスペースシャトルでの打ち上げコストは1ポンド(約450グラム)あたり約1万ドルにも上るが、ベンチャースターではこれを約1,000ドルにまで下げることを目標にしている。また、打ち上げまでの準備期間が数日程度ですむというのも特長。試験機であるX-33は、高度97kmまで上昇してマッハ13の速度に達することができる。

1996年から開発が始まったX-33は、当初1999年中の初飛行を目標に開発が進められてきたが、技術的問題から開発は遅れ、そして1999年11月になって複合材水素燃料タンクの欠陥が発覚し、頓挫していた。予算オーバーの問題もあって計画の続行が危ぶまれていたが、今回NASAとロッキード・マーティン社は、水素燃料タンクの素材をアルミニウム合金に変更した上で再設計・再製作することを決定した。

NASAによると、X-33の完成度は現在75%で、2000年末までには水素燃料タンクを除く95%以上の部品の製作および試験が完了する見込みという。

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