コンプトン・ガンマ線天文台衛星、海上投棄成功

【2000年6月5日 CNN.com / AP (2000/6/4)

NASAのコンプトン・ガンマ線天文台衛星は6月4日、無人の太平洋上空で大気圏に突入させられ、バラバラになって海中に落下し、9年間に渡った任務を終えた。

人工衛星が計画的な制御により大気圏再突入・投棄されたのは今回が初めて。ほとんどの人工衛星は小型で、大気圏再突入時には上空で燃え尽きてしまうが、コンプトンは17トンもある大型衛星であるため、計6トンに及ぶ多くの破片が地表に到達すると予想され、無制御の落下は人命をおびやかす危険があった。

コンプトンは1991年にスペースシャトル・アトランティス号により軌道投入され、設計寿命は2年間を大きく超えて活躍してきた。1999年12月には3つの姿勢制御用ジャイロスコープのうちの1つが故障したものの、今後まだ4年以上は運用できる状態にあった。しかし、万一ジャイロスコープがもう1つ故障した場合は、ジャイロスコープによる姿勢制御が不可能となる。ジャイロスコープ無しでも姿勢制御は可能ではあるが、やや不安が残ることになるため、万全を期し、今回の投棄となった。

コンプトンは、400個以上ものガンマ線源、2,600回以上のガンマ線バースト現象の検出など、ガンマ線天文学に重要な貢献をはたしてきたが、5月26日に太陽を観測したのを最後に、ついに任務を終えた。天文学者たちの間では、コンプトンの早過ぎる喪失を惜しむ声が絶えない。

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