コンプトン・ガンマ線天文台衛星、いよいよ廃棄へ

【2000年5月26日 CNN.com (2000/5/25)

NASAは、1991年にスペースシャトル「アトランティス」により放出され、2年の設計寿命を大きく超えて9年間も活動を続けてきたコンプトン・ガンマ線天文台衛星を、今後2週間以内に降下開始させ、太平洋上空で大気圏に再突入、廃棄することを計画している。

コンプトンは17トンもある大型衛星であるため、大気圏再突入後も燃え尽きず、多数の破片が広範囲にわたって地表に達すると予想されている。制御されない落下は人命に危険をおよぼす恐れがあるため、無人の海上に確実に誘導して投棄する必要がある。

コンプトンは、昨年12月に3つの姿勢制御用ジャイロスコープのうちの1つが故障している。もう1つジャイロスコープが故障した場合は、ジャイロスコープによる姿勢制御が不可能となる。その場合も小型推進器等による姿勢制御は可能ではあるが、万全を期し、ジャイロスコープによる制御が可能でより安定した姿勢制御ができるいまのうちに海上投棄されることになった。

だが、ジャイロスコープが使用不能になった場合でも十分に安全な投棄が可能であるため、天文学者たちの間では、今の段階での投棄に反対する声も多い。

<関連ニュース>