マーズ・グローバル・サーベイヤー最新画像集

【2000年4月26日】

NASAの火星探査機マーズ・グローバル・サーベイヤー(MGS)搭載の火星軌道カメラ(MOC)による最新画像を紹介させていただく。


MGSによる火星の「町」

Cydonia地方画像集

Cydoniaと呼ばれる地方を撮影した画像集。Cydonia地方は、火星探査機バイキングが1976年にこの地方を撮影したとき、そこにはまるで巨大な顔のように見える地形や、まるで町のように見える地形が写っていたため有名だ。MGSは1998年4月5日には「顔」の拡大撮影に成功、その後もこの地方の拡大写真を多数撮影しており、今回の画像集はそれらをまとめたもの。

左の画像はそのうちの1枚(SP1-22003)の一部で、「町(City)」と呼ばれる部分を撮影したものだ。

他の画像は、次のリンクを参照してほしい。リンク先の最初の画像はバイキングによる画像で、地形の俗称が書き込まれている。その次にあるのはMGS/MOCにより拡大撮影された地域の一覧で、それぞれのテキストラベルをクリックすればその部分の拡大画像が入手できる。なお、これらの画像データは最大で5MB近くのものもあるので注意してほしい。

参照: MGS MOC Release No. MOC2-222, 2000/4/5 (英文)

Credit: NASA/JPL/Malin Space Science Systems


南極冠の高解像度モザイク合成画像

南極冠の高解像度モザイク合成画像

南極冠の高解像度モザイク合成画像。モザイク合成とは、複数の小さな画像をつなぎ合わせて大きな画像を作ることだ。両画像とも、1999年10月、火星南極冠の春に撮影された多数の画像を合成してあり。ともに南緯87度、西経10度付近の10×4km程度の領域をとらえている。太陽光はともに左から。

上部の画像は、多数の層が重なった非常に印象的な地形のようすをとらえている。この層は、過去1億年ぐらいの火星の気候の記録を留めているものと考えられる。この地形を主に構成している物質は、二酸化炭素の氷(ドライアイス)、水の氷、細かなほこりなどと考えられる。

下部の画像は、複雑に侵食された地形のようす。これは、昇華、風による侵食、地面の陥没などが組み合わさって形成されたのかもしれない。火星の南極冠は非常に風変わりで、人類が目にする新しい地形が多数あり、それらの地形がどのように形成されたかを正確に説明できる人はいない。

より高解像度の画像は、リンクを参照されたい。

参照: MGS MOC Release No. MOC2-223, 2000/4/10 (英文)

Credit: NASA/JPL/Malin Space Science Systems/USGS Flagstaff


バイキングによるオリンポス山全体のモザイク合成画像

MGS/MOCによるオリンポス山頂の拡大画像

オリンポス山の山頂を横断する高解像度画像

上は、バイキング探査機によるオリンポス山全体のモザイク合成画像。下は、MGS/MOCによるその山頂部の拡大画像の一部だ。MGS/MOCによる撮影範囲はバイキングの画像に細長い矩形として示してあり、幅3km、長さ91km。MGS/MOC画像では、太陽光は左下から。

オリンポス山は巨大な死火山で、高さはエベレストの3倍。しかし、550km近くに渡って広がっているため、傾斜はわずか2〜3度ほどに過ぎない。山頂は巨大なカルデラ構造になっており、これは噴火が終焉し、マグマが地中深くに潜っていく際に陥没して形成されたと考えられる。似た地形は地球・ハワイでも見られる。

MGSによる拡大画像を見ると、そこには黒っぽい新しい溶岩は見られず、その表面は細かなほこりに覆われていると考えられ、また衝突による小さなクレーターが点在しており、オリンポス山が死火山であることがわかる。

より高解像度の画像は、次のリンクを参照されたい。

参照: MGS MOC Release No. MOC2-224, 2000/4/20 (英文)

Credit: NASA/JPL/Malin Space Science Systems