ガンマ線天文台衛星コンプトン、6月海上投棄へ

【2000年3月27日 NASA (2000/3/24)

1991年にスペースシャトル「アトランティス」により放出され、2年の設計寿命を大きく超えて9年間も活動を続けてきたNASAのガンマ線天文台衛星「コンプトン(Compton)」が、6月1日以降に海上投棄されることになった。

コンプトンは17トンもある大型衛星であるため、大気圏再突入後も燃え尽きず、多数の破片が広範囲にわたって地表に達すると予想されている。制御されない落下は人命に危険をおよぼす恐れがあるため、無人の海上に確実に誘導して投棄する必要がある。

コンプトンは、昨年12月に3つの姿勢制御用ジャイロスコープのうちの1つが故障している。もう1つジャイロスコープが故障した場合は、ジャイロスコープによる姿勢制御が不可能となる。その場合も小型推進器等による姿勢制御は可能ではあるが、安全を期し、ジャイロスコープによる制御が可能でより安定した姿勢制御ができるいまのうちに海上投棄されることになった。

コンプトンは、400個以上ものガンマ線源(それ以前に知られていた数の約10倍)、2,500回以上のガンマ線バースト現象(それ以前はわずか300回程度しか検出されていない)の検出など、ガンマ線天文学に重要な貢献をはたしてきたが、残されたわずかな時間に計画されているいくつかの観測を最後についに任務を終える。

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