太陽系は稀な存在か?

【2000年2月1日 (Star Views, 2000/1/30)

われわれの太陽系のように主星から中距離(太陽から地球〜木星程度の距離)の所に木星クラスの巨大なガス惑星が存在するような恒星系は稀であるかもしれないとNASA(米航空宇宙局)の科学者が発表した。

1月前半、NASAの天文学者は、400光年の距離に位置しわれわれ太陽の2倍ほどの質量を持つ恒星HD163296の遠くを公転する巨大なガス惑星を発見した可能性が高いという報告を行った。ハッブル宇宙望遠鏡の観測から、恒星を取り巻くダスト円盤に隙間が見つかったもので、そこに土星の1.3倍程度の質量の惑星が形成されているとすれば説明がつくという。ただ、この発見が通常と異なるのは、その隙間が恒星から200天文単位(=300億km)も離れていることだ。これは、われわれの太陽系で最遠のガス惑星である海王星の7倍の距離に相当する。

また同時に、直接観測できないさらに内側の周期5年ほどの軌道に惑星が形成されているらしい証拠も見つかった。しかし、このように恒星から中距離ある軌道に大型惑星が形成されているのは例外的なものであるかもしれないという。

オハイオ州立大学のB.Scott Gaudi氏とAndrew Gould氏はマイクロレンズ効果を利用して他の恒星系のガス巨星を検出する試みを行ってきた。マイクロレンズ現象は、暗い恒星などの巨大物体がある対象の手前を通過するとき、その対象を明るくする現象。対象の恒星がガス巨星を従えていた場合は、そのガス巨星からの反射光も明るくされるので、検出が可能となる。この方法は、今までに主星の近くを公転する大型惑星を2ダースほど発見している視線速度分析による方法に比べ、主星からより遠く離れたガス巨星を検出できる可能性があるという。

Gaudi氏とGould氏は1998年と1999年に計23のマイクロレンズ効果を観測したが、ガス惑星は発見できなかった。したがってGaudi氏は、恒星から中距離に木星クラスの大きなガス惑星があるような恒星系は30%に満たないのではないか、と推測している。

過去の研究によると、木星の存在はその重力により彗星や小惑星の脅威から内側の惑星を守る働きをしており、地球に生命が誕生する上で重要な天体だったという。

Gaudi氏らの研究結果は、われわれの太陽系のような太陽系を見つけ出すことは容易ではないことを示すものとなった。