衝突銀河ケンタウルスAのX線ジェット

【1999年10月25日 NASA TodayChandra X-ray Observatory Center

Centaurus A

電波源として名高いケンタウルスAをチャンドラX線宇宙望遠鏡が捉えた。その中心部からは2万5千光年もの長さにおよぶ強烈なX線ジェットが伸び、周囲にはたくさんのX線点源が存在している。X線点源の中心部には巨大なブラックホールが隠されているとみられる。これらのX線は数億年前に2つの銀河が衝突した際の副産物であると考えられている。

可視光(ハッブル宇宙望遠鏡)、赤外線、電波画像との比較など

(左図)ハッブル宇宙望遠鏡による可視光画像に、チャンドラX線宇宙望遠鏡による画像を重ねあわせた図。赤色がX線画像を表している。

ケンタウルスAは地球からおよそ1千万光年離れたケンタウルス座にある電波銀河で、正式な名称はNGC 5128である。活動銀河と呼ばれる銀河の中では、比較的近い場所にある。この銀河は今から数億年前、2つの渦巻き銀河が衝突することで爆発的な星形成が起こり、大量のガスが中心部のブラックホールに供給されることにより形成されたと考えられている。ジェットは中心から画面左上に伸びるものの他に、これとは逆に向かう短いジェット構造も見られる。これらのX線ジェットの全長は、私たちの銀河系の半径にも匹敵する巨大な構造である。

<ニュースソース>
Chandra X-ray Observatory Center Press Room

<参考ニュース>
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チャンドラの初仕事、「カシオペヤ座A」の観測
チャンドラX線望遠鏡による画像集
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