「ほ座」に明るい新星出現

【1999年5月27日 国立天文台天文ニュース(261)】

「ほ座」に肉眼で見える明るい新星が出現しました。 眼視で2等級よりも明るく観測されています。 ただ、残念ながら、日本からは、観測不可能ではないにしても、きわめて見にくい位置です。

この新星は、5月22日、オーストラリア、サウス・ウェールズ州のウイリアムズ(Williams,Peter)と、マウント・ジョン大学天文台のギルモア(Gilmore,Alan C.)がそれぞれ独立に発見したもので、発見時の明るさは3.1等でした。 明るすぎて、精密な位置測定が困難ですが、一応、

          赤経   10h 44m 48s.39
          赤緯 −52゚25' 30".7     (2000.0)

が求められています。南十字星の少し東側、ちょっと北寄りの位置です。「りゅうこつ座」のカノープスとほぼ同じ赤緯ですから、カノープスが見えるところなら、位置的には観測できる可能性があります。しかし、5月末から6月始めにかけては、夕刻の18時ころに南中する位置ですから、日暮れの遅い日本から観測するのは、非常にむずかしいでしょう。

この新星には、「ほ座新星1999」の呼び名が与えられました。 変光星としての番号は、V382 Vel です。 これまでに入った情報からみるとまだ増光中で、1.8等という観測もあります。 眼視で見えた新星は1975年の「はくちょう座新星1975」以来で、これより明るい新星を探すと、1.4等まで増光した1934年の「ヘルクレス座新星」までさかのぼらなければなりません。

参照  IAUC 7176(May 22,1999).
IAUC 7177(May 23,1999).
IAUC 7179(May 25,1999).

「ほ座新星1999の発見」(VSOLJニュース017)もご参照ください。