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流星観測のすすめ ビデオ編

ビデオ観測のポイント

◎特徴・利点
動画である
肉眼では見えない暗い流星まで写る
正確な流星出現時刻の判定が可能
×欠点
電源が必須
モニタがないと映像を見られない
モノクロ映像

ここ数年で、流星のビデオ撮影を楽しむ人が爆発的に増えている。それも超高感度ビデオカメラが比較的安価に供給されるようになったからだろう。かつては、ビデオカメラの感度が低かったために、流星のビデオ撮影にはイメージインテンシファイアなど、光を電気的に増幅する高価で特殊な機器が必要だった。しかし、大出現が見られた2001年のしし座流星群前に、本誌が紹介したワテック社のCCDビデオカメラヘッドWAT-100N・ネプチューン100(以下WAT-100N)の登場で状況が一変した。

WAT-100Nは、安価ながらも驚異的な高感度を実現した2分の1インチ38万画素のモノクロCCDビデオカメラヘッドだ。手のひらに載るほどの小さなボディサイズで、DC12ボルトのバッテリで駆動することができる。

WAT-100Nの感度がどの程度かというと、明るいレンズと組み合わせれば、星座を形づくる星が難なく写るほどである。残念ながら得られる映像はモノクロだが、アマチュアの流星ビデオ撮影用としては、感度的にも価格的にも、WAT-100Nよりも適した機種はなかなか見あたらない。そこで、ここではWAT-100Nを使用した流星のビデオ撮影の実際について、解説していくことにする。

ビデオ撮影用機材 流星のビデオ撮影に必要な基本的な機材。WAT-100N本体とコントローラ、レンズ、ビデオデッキとなるハンディタイプのデジタルビデオカメラ、そしてWAT-100Nとビデオカメラを接続するケーブルが必要だ。他にWAT-100N用のDC12Vバッテリも必須である。

WAT-100Nと組み合わせるレンズは、できるだけ明るいものがよい。特にCBC社製の明るいレンズ群との組み合わせは実績も多く、安心である。

レンズの画角だが、もちろん焦点距離の短い広角レンズほど広い写野を確保できる。しかし、暗い流星が写りにくくなる傾向があり、さらに流星の経路が短く写ることになるので、迫力や経路測定という点ではやや不利となる。したがって、写野の広さや捕らえられる可能性のある流星数など多方面から検討すると、焦点距離6ミリ程度がバランスが取れているといえるだろう。もちろん、目的によってはさらに長い焦点距離のレンズで分解能を上げたり、広角なレンズで一気に広い夜空を狙うのもよいだろう。

ただし、WAT-100Nは映像をコンポジット信号で出力するカメラヘッドのみである。コンポジット信号とは、ビデオデッキなどに付いている黄色いコネクタで接続される映像の信号だ。そこで、WAT-100Nの映像を見たり録画するためには、テレビやビデオデッキを別途用意する必要がある。屋外での使用を考えると、ハンディタイプの液晶モニタ付きDVビデオカメラが便利だろう。WAT-100Nからのコンポジット信号を、ビデオの映像入力端子に接続すればよい。この場合、ビデオカメラのカメラ部分を使用せずに、外部入力の録画用として利用するというわけだ。

最近のハンディビデオカメラは、充電式の専用バッテリで数時間もの録画が可能な機種も少なくないので、WAT-100Nの電源にカーバッテリや赤道儀の駆動用のシールドバッテリなどDC12ボルトのバッテリを利用すれば、きわめて機動性の高い流星ビデオ撮影システムの構築ができるだろう。ただし、WAT-100Nだけでは音声を録音できない。音声の録音が必要ならば、ライン入力が可能なマイクを別途用意する必要がある。

WAT-100N ビデオカメラへの接続 WAT-100Nには、映像信号用の黄色いプラグを接続するためにBNC-RCA変換コネクタを併用。音声用の赤白プラグは使用しない。ビデオカメラ側は一般的に4接点のミニプラグ。

実際の撮影は簡単だ。WAT-100Nを星空に向けて、接続したハンディビデオカメラの液晶モニタを見ながら、付属のコントローラで露出の調整を行う。もちろん、レンズのピント合わせを同時に行う必要がある。

WAT-100Nのコントローラには、いくつかの設定スイッチがあるが、基本的にはシャッタースピードをOFFに設定する。さらにゲインコントロールはマニュアルに、ガンマはOFFにしておこう。これで星空に向け、レンズのピントが合っていれば、星がモニタに写るはずだ。

WAT-100N コントローラー WAT-100Nは、コントローラで操作するマニュアルカメラである。設定の最適値は環境によって変わるので、基本的にシャッタースピードはOFF(1/60秒に固定)として、ゲインとガンマで背景の空の明るさを基準にコントロールするとよいだろう。ただし、暗闇でモニタを見ると明るく感じるので注意したい。CBC社製レンズは自動絞り付きだが、星空は照度不足で絞りは常に開放になるので気にする必要はない。

架台は、一般的なカメラ用三脚があればじゅうぶんだ。銀塩カメラの用にフィルムの巻き上げなど、頻繁にカメラに触れる必要がないので、適当な場所に置くだけでも実用になる。もちろん、特定の星座を常に写野に入れておきたい場合は、小型の赤道儀に搭載するのがよいだろう。

WAT-100NをスカイメモRに搭載 WAT-100Nを小型赤道儀のスカイメモRに搭載してみた。コンパクトなので、バランスウェイトも不要なほどだ。

あとは、ハンディビデオカメラの録画ボタンを押して、録画を開始するだけ。運よく流星が写野内に出現すれば、流星の動画がビデオテープに録画されるというわけだ。WAT-100Nは、比較的近赤外域まで感度があり、光と同時に熱も発している流星はひじょうに写りやすい。したがって、肉眼で検出できないような明るさの流星も意外と写っていることが多いので注意したい。

録画したビデオテープは、流星の写っている部分のみを編集して楽しむのもよし、経路の解析などに使ってもよいだろう。視野の範囲が決まっているので、時間あたりの流星数を調べることで、いわゆるラムカ的な計測にも利用できるだろう。

WAT-100でとらえた流星 WAT-100でとらえた流星 WAT-100でとらえた流星
WAT-100でとらえた流星 WAT-100でとらえた流星 WAT-100Nで得られた流星。複数枚の静止画をコンポジット合成したもの。

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