2008年 夏の星空三昧

木星

今年の夏は、天の川付近でひときわ明るく輝く木星が印象的です。望遠鏡や双眼鏡で表面の模様と4つの衛星を簡単に観察できて、見どころの尽きない惑星です。

木星の位置

木星のおおまかな位置

8月1日午後9時の星空と木星の位置。クリックで拡大(ステラナビゲータで作成)

木星は太陽のまわりを約12年で1周します。地球はずっと内側を回っているので、私たちから見ても木星は12年かけて星々の中を1周しているように見えます。目安としては「黄道十二星座の中を毎年1つずつ移動している」と考えるとよいでしょう。

今年の木星は、夏の星座「いて座」にあります。黄色くてとても明るいので街明かりの中でも簡単に見ることができますが、意外と低いところで輝いているので、南の空が建物などにさえぎられていない場所で探しましょう。もし空が暗いところで見るチャンスがあれば、右となりに天の川がぼんやりと光っていて、さらにその向こうでさそり座の赤い1等星アンタレスが輝く光景を目にすることができます。

観察に適した時間は、木星が真南の空に昇る時刻(南中時刻)の2時間前から2時間後の間です。南中時刻は7月1日午前0時ごろ、7月15日午後11時ごろ、8月1日午後10時ごろ、8月15日午後9時ごろ、9月1日午後8時ごろとなります(地域によって多少前後します)。

木星の位置

木星の動き。クリックで拡大(ステラナビゲータで作成)

ところで、去年(2007年)の夏は、木星はさそり座のアンタレスのすぐそばにありました。木星が黄道十二星座の中を移動する順番は、西から東なのです。でも、夏の間木星の位置を注意深く観察すると、東から西に移動しています。どうして動きが東へ行ったり西へ行ったりするのでしょうか?

答えは星空ガイドのコーナー「天文の基礎知識」から「惑星」の項目をご覧ください。もっとわかりやすい解説はムック「宇宙のなぞ研究室」にもあります。夏休みの自由研究で取り上げるテーマとしてもおすすめです。

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ガリレオ衛星

2008年8月1日のガリレオ衛星の見かけの位置

8月1日のガリレオ衛星。クリックで拡大
ステラナビゲータで作成)

私たちの地球のまわりを回る天体は、人工衛星を除けば月しかありません。しかし木星のまわりには60を超える衛星があって、そのうち4つはとても大きくて、地球から簡単に観察することができます。この4つの衛星は「ガリレオ衛星」と呼ばれています。今から400年前に、望遠鏡を空に向けた天文学者ガリレオが発見したからです。

当時は木星などの惑星や太陽も、月と同じように地球のまわりを回っていると信じる人が多い時代でした。ガリレオは4つの星が木星のまわりを回っているようすを観察して、「地球が月を従えながら太陽のまわりを回っていても不思議ではない」と確信したと言われています。

発明されたばかりで性能もあまりよくない望遠鏡ですぐに見つかったほどですから、ガリレオ衛星はとてもわかりやすい天体です。現代の私たちはもっと性能のよい望遠鏡を簡単に使うことができます。ぜひ望遠鏡(または双眼鏡)を木星に向けてみてください。迷ったらアストロアーツオンラインショップで組み立て天体望遠鏡を手に入れましょう。

ちなみに、衛星の名前は内側から順番にイオ、エウロパ、ガニメデ、カリストです。一日おきに見るとどんどん動くのがわかります。月刊星ナビにはガリレオ衛星の位置を示すカレンダーが掲載されているので参考にしましょう。天文シミュレーションソフトの「ステラナビゲータ」で確かめるのも手です。ガリレオ衛星の詳しい解説はムック「太陽系ビジュアルブック」で読むことができます。

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望遠鏡で模様を観察

口径の大きな望遠鏡で観察するほど木星の魅力は増すといってよいでしょう。最後に紹介するのは、望遠鏡で見える木星の模様です。

木星は主にガスでできていて、地球のように海や大陸が見えることはありません。しかし木星はおよそ10時間で1周という高速で自転していて、その回転方向に沿って何本もの縞模様があります。もっとも目立つ縞は、観測条件がよければ口径5cmの望遠鏡や双眼鏡でも確認できるでしょう。

口径8cmの望遠鏡(こちらの特集もご覧ください)なら、本格的に楽しめるようになります。見える縞の数は4〜5本で、条件に恵まれれば「大赤斑」も確認できるかもしれません。大赤斑は木星の台風のような存在で、大きさは地球2つ分、発見以来300年間消えていないと言われています。

各地の天文台などで開かれる観望会にも参加してみましょう。口径数十cmの望遠鏡で見る木星は圧巻です。

8cmと25cmの望遠鏡で見た木星

模様の観察に挑戦するときは、天気に注意しましょう。空一面べた雲りというのは論外ですが、星が見えていても薄い雲がかかっていることもあります。また、風が強いと大気がゆらぐので、波立った水面の底をのぞくかのように模様が見づらくなります。大気の影響は、地平線に近いところほど大きくなります。今年の木星はあまり高く昇らないので、その分天気に気をつかわなければなりません。

望遠鏡で見る木星の感動を味わうためにまず手に入れたいのが、双眼鏡や望遠鏡の使い方や、木星などさまざまな天体の観察方法をまとめたムック「DVDではじめる 天体観察入門」です。星の探し方や道具の使い方を説明するムービーが付録DVDに収録されていて、オールカラーの解説と合わせることでまったくの初心者でも必要な知識を身につけることができます。

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