衛星データから作られた「地球の防護バリア」磁気圏のモデル

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【2014年5月13日 ヨーロッパ宇宙機関

日米欧の人工衛星などのデータから、地球の磁気圏のモデルが作成された。宇宙からの高エネルギー粒子をブロックする防護壁の役割を果たす磁気圏の把握に役立てられる。


太陽風の影響を受けながら変動する地球の磁気圏

太陽風の影響を受けながら変動する地球の磁気圏。クリックで拡大(提供:N. Tsyganenko)

欧州の衛星群「クラスター(Cluster)」、日米共同の「ジオテイル(Geotail)」、アメリカの「ポーラー(Polar)」と「テミス(THEMIS)」という人工衛星の観測データに基づいた地球の磁気圏モデルが、ロシアの研究者Nikolai Tsyganenkoさん(サンクトペテルブルク大学)によって作成された。

常に大きく変動する磁気圏の構造を知るために、太陽活動が磁場に与える影響を膨大な観測データからモデル化した今回の成果は、上記衛星による1995年から2012年までのデータに加え、太陽観測衛星や地上観測のデータも補完して作られたものだ。従来データ化されていた磁気圏赤道部のみならず、太陽風のプラズマ粒子が入り込む高緯度領域も含め全球的にカバーされている。

地球を取り囲む磁気圏は、太陽や宇宙の彼方からやってくる高エネルギー粒子をブロックしてくれる重要な防護壁だ。現代の人間社会に欠かせない宇宙空間利用において、こうしたモデルが磁気圏の詳細な把握に役立てられる。