若い散開星団に発見 微小に明るさが変わる新種の変光星

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【2013年6月19日 ヨーロッパ南天天文台

ヨーロッパ南天天文台で行われた散開星団の観測から、新種の変光星が発見された。見つかった星の変光のようすは現在の理論では受け入れがたいもので、その起源はなぞである。


NGC 3766の画像

ラ・シーヤ観測所のMPG/ESO 2.2m望遠鏡によるNGC 3766。クリックで拡大(提供:ESO)

南米チリのヨーロッパ南天天文台(ESO)ラ・シーヤ観測所のレオンハルト・オイラー望遠鏡を使った観測で、新種の変光星が見つかった。この変光星が発見されたのは、ケンタウルス座の方向7000光年彼方にある散開星団NGC 3766。生まれてからおよそ2000万年という若い星団に存在する3000個以上もの星の明るさを口径1.2mという比較的小さな天体望遠鏡で7年にわたり観測し、星の明るさの微小な変動を計測した結果である。

「高度な観測と慎重なデータの分析によって、このような結果が得られました。さらに、7年にもわたって広範囲な観測プログラムを続行できたおかげともいえます。もっと大きな望遠鏡を使っていたら、これほど長い観測時間を獲得することは不可能だったでしょう」(研究リーダーのNami Mowlaviさん)。

観測では36個の星に、意外な明るさの変動が見られた。2時間から20時間の周期で、平常時の明るさからわずか0.1%の幅で変光していたのだ。太陽に比べてわずかに明るく温度も多少高い程度の、いたって平凡な星たちである。

「これら新種の変光星の存在は、天体物理学者にとっての挑戦です。現行のモデルに則して考えると、これらの星はこんな具合には変光しないはずなのです。私たちは今、星のふるまいについてさらに詳しく調べることに力を注いでいます」(研究チームのSophie Saesenさん)。

一体何によって変光が引き起こされているのかはまだわかっていないが、ひとつヒントがある。36個のうちのいくつかが、どうやら高速で自転しているらしいという点だ。星が不安定となり宇宙空間へ物質を放り出す臨界速度の、半分以上の速度で自転しているとみられる。

「こういった条件下では、高速の自転が星の内部特性に重要な影響を及ぼすことになります。その変光を適切にモデル化するのはこれからです。私たちの発見が専門の研究家への促進剤となって、不思議な変動の起源解明につながることを期待しています」(Mowlavさん)。

研究チームでは、NGC 3766と同じく、Beタイプの星()が多く含まれる比較的若い散開星団で同様の変光を示す星を探索するように呼びかけている。

注:「Be星」 恒星はそのスペクトル(光の成分)のタイプによって高温のものからO、B、A、F …と分類されており、それぞれ表面温度の違いを表す。Be星はこのスペクトルタイプがBに該当するもので、特に水素の輝線が見えるものを表す。