たった2年前にできた火星の天体衝突痕

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【2013年5月16日 NASA

NASAの探査機による火星表面の観測から、248個の衝突痕が新たに見つかった。統計的に見積もられた小天体の衝突頻度は、火星の地形変化の歴史を知る手がかりとなる。


火星の地表に現れたクレーター

火星の地表北緯4度の領域に現れたクレーター。過去の画像から、2010年8月(左上)から2011年5月の間に衝突したことがわかる。衝突痕の半数以上はこのように多数が集まったものだ。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/MSSS/Univ. of Arizona)

NASAの探査機「マーズ・リコナサンス・オービター(MRO)」の観測で、新たに248個のクレーターが火星の地表に見つかった。異なる時期に撮影した画像を比較して黒っぽい点が現れた箇所を、MROの高解像度カメラで詳細に確認したものだ。

こうした衝突痕を残す隕石は1〜2m以下のものがほとんどで、地球なら燃えつきてしまうが、火星の希薄な大気なら地上まで到達するサイズだ。

1区画での統計をもとにした米アリゾナ大学のIngrid Daubarさんらの推計では、3.9m以上のクレーターが火星全体で年間200個形成されているという。こうした衝突頻度の見積もりは、火星に見られる地形がいつできたかの手がかりになるし、それを生み出したかもしれない過去の気候変動を知ることにもつながる。

「できたてほやほやのクレーターが見つかったのはすごいことです。火星は変化のある生きた天体で、現在進行中のプロセスを調べることができるんです」(Daubarさん)。