生命の兆候がある惑星は、白色矮星で見つけやすい

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【2013年2月27日 ハーバード・スミソニアン天体物理学センター

太陽以外の恒星に、生命がすみやすい環境の惑星はあるのだろうか。これまで惑星が発見されたことのない「白色矮星」と呼ばれる星の残骸が、生命の兆候を探すのに実は最適であるという研究成果が発表された。


白色矮星とその惑星の想像図

白色矮星(白い点)とその惑星(手前)の想像図(提供:David A. Aguilar (CfA))

太陽以外の星を公転する系外惑星はこれまでに800個以上見つかっているが、その中に生命のいる世界があるかどうかはわかっていない。ある惑星の環境が生命に適しているかどうかは、ガス惑星なのか岩石惑星なのかというタイプや恒星からの距離、大気、そこで起こる化学反応などが考慮される。特に、大量の酸素は生命が存在する可能性を示す根拠になりうる。

こうした惑星を見つけるには、どのような星の周囲を探せばよいのだろう。Avi Loebさん(ハーバード・スミソニアン天体物理学センター)らの研究によれば、太陽のような星よりも「白色矮星」のほうが、生命に適した大気を持つかどうかを調べやすいという。白色矮星とは、太陽と同じくらいの重さの星が内部のエネルギー源を使い切って外層を放出したあとに、小さな高温の中心核だけが残ったものだ。

白色矮星はとてもゆっくりと冷えて暗くなっていき、数十億年間もあたたかいままである。太陽に比べるとひじょうに暗く、太陽系の惑星よりももっと恒星に近いほうがちょうどよい温度環境になる。その距離はおよそ160万km、公転周期は10時間程度だ。

白色矮星の大きさは地球程度しかないので、その手前近くを惑星が通った場合に見かけの明るさが減少する割合も大きい。したがって、その変化から惑星の存在が見つけやすくなる。またこの方法なら、惑星の大気を通過してきた白色矮星の光を調べることにより、水蒸気や酸素のような生命環境の兆候があるかを探ることもできる。

ただし、星が白色矮星になる前に巨大に膨張して(赤色巨星になり)、近くの惑星を飲み込んでしまう段階がある。白色矮星の周りに惑星が存在するためには、赤色巨星から白色矮星になっていく時に遠い軌道の惑星が近くまで移動してくる、あるいは近くで新しい惑星が作られるというプロセスが必要になる。

白色矮星はとても暗いためこれまでに惑星は見つかっていないが、今後予定される最新観測機器での発見が期待される。

〈参照〉

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