QZSS衛星初号機「みちびき」の測位信号を提供開始

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【2011年6月24日 JAXA

日本版GPSともいえるQZSS衛星初号機「みちびき」の測位信号が一般利用可能となった。精度の実験により品質・信頼が仕様に達したためで、対応受信機で「みちびき」のGPS補完信号を使用できるようになる。


準天頂衛星「みちびき」

地球を周回する「みちびき」のイメージ図。日本上空にいる時間が長くなるような、高度約3万〜4万kmの準天頂軌道で回っている(提供:JAXA)

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、運用中の準天頂衛星初号機「みちびき」のGPS補完信号の品質・信頼性が「準天頂衛星システムユーザインタフェース仕様書(IS-QZSS)」に適合することを確認し、6月22日にアラートフラグを解除したことを発表した。これにより、一般ユーザによる測位信号の利用が可能となる。

準天頂衛星システム(QZSS)とは、米国のGPSなどに代表される衛星測位システムの日本版とも言えるものだ。日本でも広く使われているGPSは山やビルにさえぎられることが多いが、QZSS衛星は日本の上空を重点的にカバーする軌道をとるため、場所を選ばず精度の高い測位情報を得られる。従来のGPS受信機では受信できないが、ほぼ同一の信号を使っているため、QZSS対応GPS受信機でGPSの補完信号として利用することができる。

QZSSシステム構築の第一歩となる初号機「みちびき」は2010年9月11日に打ち上げられ、同年12月13日に定常運用へ移行、技術・利用実証が開始された。この間、測位信号に乗せて送られる衛星の軌道や時刻情報の精度を改善していく実験を行うため、「精度の信頼性が足りないため利用不可」というアラートフラグを設定していた。

このたび、現行のGPS信号と相互運用できるGPS補完信号についてこのフラグを解除したため、対応受信機で「みちびき」の測位信号を測位計算に利用することが可能となる。GPS近代化計画に基づく新タイプのGPS信号に対応した信号についても仕様との適合を確認後、順次フラグ解除を行っていく。