子持ち銀河M51に超新星2011dhが出現

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【2011年6月6日 VSOLJニュース(272)】

5月31日に「子持ち銀河」ことりょうけん座のM51銀河で超新星が発見され、2011dhと符号がつけられた。超新星爆発のもととなったとみられる恒星の姿をハッブル宇宙望遠鏡がとらえている。


VSOLJニュースより(272)

著者:山岡均さん(九大理)

(超新星出現前後の画像)

石垣島天文台の105cmむりかぶし望遠鏡でとらえた、超新星出現前後のM51銀河比較画像。6月3日の画像(右)では、渦巻きの一部に星が出現したことがはっきりととらえられている。クリックで拡大(撮影:石垣島天文台 花山秀和研究員)

(超新星爆発を起こしたと思われる元の恒星周辺の画像)

ハッブル望遠鏡がとらえた、超新星爆発を起こしたと思われる元の恒星。クリックで拡大(提供:Weidong Li氏のウェブサイトより)

子持ち銀河の名で知られるりょうけん座のM51は、渦巻銀河と小型の銀河がペアになった衝突銀河です。この銀河では星生成が活発なため大質量星の爆発も多く起こっており、近年では超新星1994I(Ic型)、超新星2005cs(II型、VSOLJニュース No.140(2005/7/1のニュース 「子持ち銀河M51に超新星2005csが出現」)が発見されています。

そのM51に、明るい超新星が出現しました。5月30.90日(世界時、以下同様)には19.5等級より明るい天体は存在しなかったところに、5月31日(時刻不詳)に14等ほどの新天体が現れたのです。ATEL 3398によると位置は次のように測定されています。

 赤経 13時30分05.08秒
 赤緯 +47度10分11.2 秒 (2000年分点)
  M51周辺の星図と、DSS画像に表示した超新星

銀河の中心から東に138秒角、南に92秒角のところにあたります。分光観測により、大質量星の爆発と目されるごく初期のII型と判明しています(ATEL 3398)。

さらに、爆発前に撮影されたハッブル宇宙望遠鏡による画像(画像2枚目)では、同じ場所に単独星らしい姿が見えています(ATEL 3399)。この星が爆発した可能性が高いと思われます。

M51は8メガパーセク(2600万光年)ほどの距離にある近い銀河で、今後しばらくはこの超新星は観察・撮影可能なものと思われます。この超新星をくわしく調べることで、超新星に関する研究が大きく進歩すると期待され、眼が離せません。

アストロアーツ追記:VSOLJニュース発行後に、2011dhの符号が付けられました。


超新星2011dhの位置

この天体を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」で表示して位置を確認できます。ご利用の方は、ステラナビゲータを起動後、「ツール」メニューから「データ更新」を行ってください。

また、新しいデータや番組を入手できる「コンテンツ・ライブラリ」では、超新星をわかりやすく×印で表示するための「超新星(マークで表示)」ファイルも公開しています。あわせてお楽しみください。

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