西山さんと椛島さん、いて座に新星を発見

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【2011年3月29日 VSOLJニュース(266)】

九州の新天体捜索チーム、西山さん椛島さんのコンビが3月27日(世界時、以下同様)、いて座に新星を発見した。銀河系内の新星は、1月に同じくいて座で見つかったのに続き、今年2個目。


VSOLJニュースより(266)

著者:前原裕之さん(京都大学花山天文台)

私たちの銀河系の中心方向に見えるいて座には、これまでにも多数の新星が発見されています。最近では2009年に4個、2010年は2個の新星が発見されています。銀河系内新星の宝庫といえるいて座に、今年2個目の新星が発見されました。発見したのは、福岡県久留米市の西山浩一(にしやまこういち)さんと佐賀県みやき町の椛島冨士夫(かばしまふじお)さんのチームで、これまでにも多数の新星を発見している熱心な捜索者です。

西山さんと椛島さんは、3月27.832日(世界時、日本時間では28日早朝)に105mmレンズを装着したCCDカメラで撮影した画像から、11.7等の新天体を発見しました。直後に口径40cmの望遠鏡で撮影した画像から求めたこの天体の位置は以下のとおりです。

  赤経  18時10分21.35秒
  赤緯 -23度05分30.6 秒 (2000年分点)
  いて座の新星の周辺星図

また、この位置には3月26.837日などに撮影された画像には13等よりも明るい天体は写っていませんでした。

この天体の分光観測は、京都産業大学神山(こうやま)天文台チームによって、同天文台の1.3m荒木望遠鏡を用いて発見翌日の29日早朝に行われました。得られたスペクトルには、水素のHαとHβ輝線、一階電離した(電子を1個失なった)鉄の輝線がみられたことから、この天体が古典新星であることが確認されました。また、この天体は銀河系内のガスやチリによる吸収を強く受け、赤い色をしていることが、分光や測光観測から報告されています。


いて座の新星の位置

この天体を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」で表示して位置を確認できます。ご利用の方は、ステラナビゲータを起動後、「データ更新」を行ってください。

また、新しいデータや番組を入手できる「コンテンツ・ライブラリ」では、新星をわかりやすく×印で表示するための「新星(マークで表示)」ファイルも公開しています。あわせてお楽しみください。

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