ALMA山頂施設と山麓施設の「ライブ映像」配信開始

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【2011年3月24日 ALMA・国立天文台

チリ・アタカマ高原に建設中の電波望遠鏡ALMAの山頂施設(AOS)と山麓施設(OSF)のライブ映像の配信が始まった。


(ALMA山頂施設の様子)

ALMA山頂施設の様子(提供:ALMA (ESO/NAOJ/NRAO))

ALMA望遠鏡計画は東アジア(日本が主導)・北米・ヨーロッパ・チリが協力して進めている国際プロジェクトで、チリ・アタカマ高原(注1)に66台のアンテナを設置し1つの超高性能な電波望遠鏡として運用する計画である。

この電波望遠鏡は波長域がミリ波からサブミリ波(注2)の範囲でとくに力を発揮し、これまで観測が困難であった宇宙空間に存在する冷たい塵やガス(注3)などを観測できるようになる。これにより、宇宙ができて間もない頃の生まれたての銀河や、星の誕生、惑星系の誕生など可視光では見えなかった宇宙を見ることができると期待されている。

ALMAのアンテナは現在も建設中で、2010年12月の時点で9台のアンテナが山頂に揃っている。2011年後半には16台の12mアンテナを利用した初期科学観測(サイクル0)を開始、2012年に本格的な観測がスタートする予定だ。

映像は以下(関連リンク)のリンク先で見られる。タイミングがよければ、アンテナを移動させている様子などが見られるかもしれないので、ときどきチェックしてみよう。

注1:「チリ・アタカマ高原」 山頂施設は標高5000mを超え、晴天率が非常に高く天体観測に適した場所に位置している。山麓施設は標高2900mのところにある。日本との時差は約12時間で、ほぼ昼夜が逆転する形になる。

注2:「ミリ波・サブミリ波」 電波の一種で波長が0.1mm〜1mmの電磁波をサブミリ波、1mm〜10mmの電磁波をミリ波と呼ぶ。人間の目に見える可視光の波長は360nm〜830nm程度。nm(ナノメートル)は100万分の1mm

注3:「冷たい塵やガス」 摂氏マイナス260度前後の塵やガスを指す。ちなみにこれ以上温度が下がることのない絶対零度は摂氏マイナス273度。