火星探査車「キュリオシティ」、2012年8月に火星着陸へ

【2010年5月27日 JPL

NASAは、火星探査車マーズ・サイエンス・ラボラトリー(MSL)=キュリオシティを2011年11月ごろに打ち上げ、2012年8月に火星に着陸させる予定を発表した。


(火星に着陸するキュリオシティの想像図)

火星に着陸するキュリオシティの想像図。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech)

NASAは、火星探査車「キュリオシティ」を2011年11月25日〜12月18日の間に打ち上げ、2012年8月6日〜20日の間に火星に着陸させる計画を発表した。この日程は、現在火星の上空を周回中の2つの衛星(マーズ・オデッセイとマーズ・リコナサンス・オービター)によるデータ転送を最大限に利用するように設定されたものである。

火星への下降時および着陸時には、キュリオシティと直接通信するほうがシンプルであり、ミッションの関係者にとって魅力的だが、通信速度は1秒あたり1ビットしかない。一方、火星の上空にある衛星を介した場合は、1秒あたり8000ビット以上のデータ通信ができる。

NASAの火星探査計画の責任者をつとめるFuk Li氏は、「火星大気への突入、下降、そして着陸という、ひじょうに困難な段階に何が起きるのかを知るため、質の高いテレメトリーが重要なのです。いかなる問題も軽減できるように、最大限の情報が得られる方法を選びました」と話している。

キュリオシティは車体が重過ぎるため、これまでの探査車のように着陸にエアバッグを使用することができない。その代わりに画期的な方法が採用される。着陸の最終段階では、スカイクレーンと呼ばれる装置からキュリオシティを吊り下げ、それを下ろしてキュリオシティを地表に着陸させるのだ。着陸地点については最終候補が4か所に絞られており、それぞれの地点の安全性や科学的な特徴などに関して詳しい分析が進められている。

キュリオシティの探査期間は火星上の1年間(地球上の2年間)と設定されている。その間に着陸地点周辺などを慎重に分析し、微生物が好むような環境が存在しているか、過去に存在していたかどうかを探る。