太陽観測衛星STEREOがとらえた「津波」

【2009年12月15日 SCIENCE@NASA

NASAの太陽観測衛星STEREOによる観測で、「太陽津波」の存在が確認された。公開された動画では、爆発地点を中心に、高さ10万kmという高温プラズマの巨大な波が太陽表面で同心円状に広がっていくようすなどを見ることができる。


太陽観測衛星STEREOの衛星Aがとらえた太陽津波の画像

太陽観測衛星STEREOの衛星Aがとらえた太陽津波。クリックで拡大(以下同じ)(提供:NASA、以下同様)

太陽観測衛星STEREOの衛星Bがとらえた太陽津波の画像

太陽観測衛星STEREOの衛星Bがとらえた太陽津波

太陽津波は、1997年に太陽観測衛星SOHOによって初めてとらえられた現象だ。太陽表面の活発に活動する領域で爆発が起き、大量のガスが放出され、爆発地点を中心に津波が同心円状に広がっていくようすが記録された。

津波は地球の直径を超える高さで、爆発が起きた中心地点から数百万kmも離れたところにまで到達した。太陽津波は、水の波ではなく、高温プラズマと磁気の巨大な波である。

あまりに巨大なスケールであったために、この津波はある種の影が目の錯覚で波のように見えているのだという推測も出されていた。しかし、放出されたガスの影なのか、波なのかは、SOHOによる観測ではわからなかった。

SOHOが1点からの観測を行うのに対し、2006年に打ち上げられた双子の太陽観測衛星STEREOは、2機の衛星AとBとで観測を行うことができる。そのSTEREOが今年の2月にとらえた画像をつなぎ合わせた動画から、太陽津波の存在が確認された。

STEREOは、太陽の黒点がいきなり爆発を起こし、数十億トンものガスが宇宙空間に放出され、太陽の表面に沿って津波が起きるようすをとらえた。波は高さが10万km、速度が秒速250km、さらにそのエネルギーは、TNT火薬2400メガトンの爆発力に及ぶものだった。

ゴダード宇宙センターの太陽物理研究所のJoe Gurman氏は「これで、太陽津波が実在することがわかりました」と述べており、さらに、同研究所のJoe Gurman氏は「(太陽津波の観測は)太陽の状態を判断するのに役立ちます。波が伝わって、ガスが跳ね返るようすから、ほかの方法では知ることのできない、低層のガスに関する情報を得ることができます」と話している。

なお、動画は、以下の「参照」リンク先から見られる。

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