異質な星では惑星も異質? 7個の巨星で惑星発見

【2008年9月12日 国立天文台 岡山天体物理観測所

東京工業大学、国立天文台などの研究チームが、巨星をまわる惑星を7個発見し、巨星を対象とした系外惑星探しで世界のトップにたった。一連の発見によって、恒星の質量や年齢に応じて、まわりの惑星系に違いのあることが明らかとなってきた。


(巨星を回る惑星の想像図)

巨星を回る惑星の想像図。クリックで拡大(提供:国立天文台 岡山天体物理観測所)

(研究チームが発見した巨星のまわりの惑星および褐色矮星の模式図)

研究チームが発見した、巨星をまわる惑星および褐色矮星(赤字が今回新たに見つけた惑星系)。クリックで拡大(提供:国立天文台)

(太陽型星と巨星のまわりの惑星系の比較(模式図))

太陽型星と巨星のまわりの惑星系の比較。左端のオレンジ色は中心星の半径を表す。クリックで拡大(提供:国立天文台)

これまでに約300個の太陽系外惑星が発見されているが、その大部分は質量・大きさ・年齢などが太陽に近い恒星(太陽型星)のまわりで見つかっている。一方、太陽型星以外の恒星、とくに太陽より重い恒星のまわりは、観測が進んでいない。恒星表面の活動が活発であり、惑星がおよぼすかすかな影響を検出するのが難しいからだ。

東京工業大学助教の佐藤文衛氏らの研究チームは、太陽より重い恒星でも、核燃焼が進んだ老齢期にあたる「巨星」ならば、比較的活動度が低いことに着目した。そこで2001年から数百個の巨星を国立天文台岡山天体物理観測所の188cm望遠鏡で観測し、これまで2個の惑星と1個の褐色矮星を発見している。今回、そのリストに7個の惑星が加わった。巨星のまわりの惑星探しは世界中で進められているが、現在までの発見数は約20個。同チームは世界のトップに躍り出たのだ。

一連の発見によって、巨星のまわりの惑星系と太陽型星のまわりの惑星系との間に違いが見つかった。太陽型星では恒星表面すれすれの軌道を回る惑星もあるのに対して、巨星の惑星は一番近いものでも約0.7天文単位、太陽系でいえば金星の軌道付近である。

その理由については2つの説がある。そもそも恒星の近くでは温度が高すぎて惑星が形成されにくいだろうという説と、惑星は形成されるが、恒星に飲み込まれてしまうという説だ。後者は、恒星が進化の途中で大きくふくらみ、惑星に引力をおよぼしやすくなる時期があるという理論にもとづく。

巨星を巡る惑星の謎については、今後の観測によって決着がつくと期待されている。さらに、恒星の性質によって惑星系にどのような違いがあり、恒星の進化とともにどのように変わっていくのかが統一的に理解できるかもしれない。


この研究は、9月11日〜13日に岡山理科大学で開催されている日本天文学会の秋季年会の記者会見で発表された。