【イベント情報】ガリレオ望遠鏡の復元とレンズ磨き教室

【2008年7月24日 佐賀県立宇宙科学館】

佐賀県立宇宙科学館では、約400年前にガリレオが製作した望遠鏡を復元して展示するとともに、実際に望遠鏡の製作を体験できる「レンズ磨き教室」も開催している。


ガリレオ望遠鏡の復元について

(ガリレオ望遠鏡のレプリカ)

ガリレオ望遠鏡レプリカ 14倍(提供:佐賀県立宇宙科学館)

(レンズ磨き教室のようす)

レンズ磨き教室 自分の望遠鏡用のレンズを研磨(提供:佐賀県立宇宙科学館)

佐賀県立宇宙科学館では、ガリレオが作ったとされる望遠鏡の復元を行いました。ガリレオは数多くの望遠鏡を製作したそうですが、彼が製作したと確認されている望遠鏡は、イタリアの「フローレンス科学史研究博物館」が所蔵する2本だけです。当館ではその内の1本、長さが1.3m近くもある長い方の望遠鏡を忠実に復元しました。当館に導入したレンズ研磨装置を使い、レンズの両面の曲率、焦点距離など、残された望遠鏡の仕様を再現し、木で作られた鏡胴、収差を少なくするためにレンズにかぶせるアパーチャーまで忠実に再現し、ガリレオが実際にのぞいたのと同じように見える望遠鏡を製作いたしました。

ガリレオは望遠鏡の発明者ではありません。しかし、彼は望遠鏡を使って1609年に人類初の天体観測を行いました。彼は1608年にオランダで望遠鏡が考案されたという話を聞いて自分でも望遠鏡を作ることを思い立ち、望遠鏡を製作しました。来年、2009年はガリレオが望遠鏡を天空に向け、天体観測を始めた1609年から、ちょうど400年目の節目でこれを記念して2009年は『世界天文年2009』と定められています。

複数のレンズを組み合わせることで考案された望遠鏡や顕微鏡などが科学的な世界観獲得に大きく貢献してきました。16世紀末/17世紀初め、我々を取り巻く世界/事物についての認識は極めて観念的なものでした。天上を支配する原理と地上を支配する原理は別のものであり、宇宙は地上の原理が適用できない世界と考えられていました。天上は高貴で不変、完全無欠の世界と考えられていました。しかしガリレオが自作の望遠鏡で観測した太陽にはシミのような黒点がありました。完全な球だと考えられていた月には、起伏に富んだ山や谷があり、金星は月のように満ち欠けをするということが明らかになったのです。このような発見はそれまでの観念的な世界観に深い疑問を投げかけるものでした。望遠鏡による天体の観測がガリレオに地動説の正しさを確信させることになりました。

多くの先人の努力により、われわれを取り巻く世界観は大きく変わりました。現在では、はるか130億光年かなたの宇宙の観測結果も得られることになりましたし、ミクロの世界では究極の素粒子にせまり、ミクロからマクロまで共通の科学原理で世界を理解する試みが続けられています。

ガリレオの望遠鏡は素朴で実際には扱いにくい望遠鏡でした。しかしながら、観念的な世界観から科学的な世界観獲得への契機ともなりました。レプリカではありますが、ガリレオの望遠鏡をのぞくことで先人の真理追究の熱意や努力の一部でも感じ取ることができれば、新たな挑戦へのきっかけになると確信いたしております。佐賀県立宇宙科学館ではガリレオ望遠鏡のレプリカを展示公開し広く見ていただくとともに、レンズ研磨教室への参加者には、自作の望遠鏡のほか、ガリレオ望遠鏡も実際にのぞいてもらう機会も設けています。

《レンズ磨き教室》

日時
毎週2回程度開催(詳細は教室スケジュールで確認のこと)
内容
レンズ研磨機によるレンズ磨きの体験と、望遠鏡の組み立て
問い合わせ
佐賀県立宇宙科学館 佐賀県武雄市武雄町大字永島16351
電話:0954-20-1666
担当:許斐修輔(このみ しゅうすけ)konomi@saga-ecf.or.jp(@は半角に)

※このニュースは、佐賀県立宇宙科学館の許斐修輔さんからお寄せいただいた情報を元に作成しました。