1月3日未明、小惑星Antinopeとその衛星による恒星食に注目

【2008年1月1日 アストロアーツ】

1月3日未明、小惑星 (90) Antinope による恒星食が起こる。この小惑星には衛星があり、小惑星本体による食と衛星による食の両方が起こることが期待されている。


1月3日の2時42分頃、小惑星 (90) Antinopeとその衛星による11.2等星(TYC 1895-01450-1)の恒星食が、近畿地方から関東地方を中心とした範囲で見られる。この小惑星には衛星があり、本体による恒星食とは別に、衛星による恒星食も起こると期待されている。このため、食が2回観測されたり、衛星による食だけが観測されたりする可能性がある。

予報によれば、中四国地方から福島県、新潟県までが食の起こる範囲とされているが、連小惑星の現象で予報誤差が大きい可能性があるため、より広い範囲での観測が望まれる。仮に減光が観測されなかったとしても、その地域では見られなかったということも重要な情報となる。

1度の恒星食で、小惑星本体とその衛星(による食)が同時に観測された確実な例は、2006年11月8日に起こった小惑星 (22) Kalliopeとその衛星Linusによるものしかない。このときの現象は日本から観測され、多くのアマチュア観測家によって現象がとらえられた。その結果から、KalliopeとLinusの形状や大きさ、相互の位置関係などが詳しく求められた。

今回の現象も、小惑星本体と衛星で観測に成功すると、同様の結果が得られることになり、貴重な成果となる。ぜひ観測に挑戦してみてほしい。なお、より詳しい情報は、以下の関連リンクを参照のこと。

小惑星 (90) Antinopeによる恒星食
日時 2008年1月3日 2時42分(日本標準時)
恒星 TYC 1895-01450-1 11.2等
赤経 07h 01m 27.124s、赤緯 +24゚ 22' 12.33" (J2000)
ふたご座
小惑星 (90) Antinope 13.2等
推定直径 120km(本体 93km/衛星 88.5km)
減光 約2.1等、継続時間は本体 5.9秒、衛星 5.7秒
2回の減光が起こる可能性あり
掩蔽帯 関東、中部、近畿
ランク 98ポイント

ランク=減光が観測される可能性を示す指標で、高ポイントほど確率が高い。

(※本ニュースは、せんだい宇宙館の早水勉氏よりいただいた情報をもとに作成しました。)

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