土星に今年4個目の新衛星

【2007年7月19日 国立天文台 アストロ・トピックス(312)

国際天文学連合(IAU)は、7月18日、土星に新衛星が発見されたことを国際天文学連合回報(IAUC)に発表しました。この衛星は土星を周回しているカッシーニ探査機によって発見されたもので、今年5月にすばる望遠鏡で発見された3個の新衛星に次ぐ、土星で今年4個目の新衛星です。

カッシーニ探査機は2004年7月に土星に到着しましたが、その直前の2004年6月に撮影した画像から、土星の衛星第1番 (I) ミマス(Mimas)と第2番 (II) エンケラドス(Enceladus、元ニュースではエンケラドゥス)の軌道の間を回る2つの衛星 S/2004 S 1 と S/2004 S 2 を発見しました(のちに2つの衛星の番号と名前は第32番 (XXXII) メトネ(Methone)、および第33番 (XXXIII) パレネ(Pallene)となりました)。今回新たに発見された衛星は、これら2つの衛星の軌道の間を回っているもので、S/2007 S 4の仮符号が付けられました。

この新衛星は、2007年5月30日に約6時間にわたって撮影された一連の画像から初めて発見されました。それにもとづいて求められた暫定的な軌道を用いて、カッシーニ探査機が過去に撮影した画像を調査したところ、この衛星は2004年6月以降、現在までのほぼ3年間にわたって撮影された多数の画像に検出されました。その結果、この衛星の軌道は長半径が197,700キロメートル、離心率が0.001、土星赤道に対する軌道傾斜角が0.1度、公転周期が1.03650日と求められました。この軌道は衛星ミマスと10:11の平均運動共鳴の関係にあります。この衛星の大きさは、その明るさから、半径が約1キロメートルと見積られています。

今回の発見により土星の衛星の数は、確実なものとして60個、不確かなものまで含めると63個となりました。不確かなものまで含めた総数は、太陽系の惑星でもっとも多い衛星を持つ木星に並ぶことになりました。