2007年1月の星だより

【2007年1月1日 アストロアーツ】

あけましておめでとうございます。今年も昨年同様、天文界が盛り上がることを期待したいものです。星空が大にぎわいを見せてくれる、今月注目の現象や天文学の話題を紹介します。


月と惑星の接近に注目!

(稚内から見た土星食)

1月7日午前4時11分、稚内から見た土星食のようす(ステラナビゲータ Ver.8で作成)

(東京から見た月と金星)

1月21日午後5時30分、東京から見た月と金星の接近のようす。クリックで拡大(ステラナビゲータ Ver.8で作成)

今月は月と惑星の接近を見る機会が多くなることでしょう。とくに、1月7日未明の土星との大接近は注目です。北海道の北部から東部では、月が土星に隠される「土星食」となります。札幌ではわずかの差で食にはなりませんが、望遠鏡の高倍率で月縁をかすめる土星を追いかけることができます。関東より南では土星がやや離れてしまいますが、それでも土星の0.2等の明るさがかき消されてしまいそうなほど月に近づいているようすは必見といえるでしょう。望遠鏡で手軽に観察できる天体として、月のクレーターと土星の環は根強い人気を誇っています。この2つを同時に楽しめる機会はめったにありません。

22日には天王星が月に隠される「天王星食」がおきますが、残念ながら昼間の現象です。それでも、日没直後の空で三日月と天王星が並んでいるようすを、双眼鏡で楽しむことができます。その少し前、20日と21日の夕方には、細い月が金星と並びます。金星の位置は日没30分後で高度10度と、とても低いのですが、西の空が開けてさえいれば、マイナス4等前後の明るさなのですぐに見つかるでしょう。今後数か月間、金星は宵の明星として少しずつ高度を上げていくので、会社や学校の帰り道で探してみてください。

1等級の彗星…ただし、太陽のすぐ近く

2006年はシュワスマン・ワハマン彗星(73P)やスワン彗星(C/2006 M4)などが話題となりましたが、今年はどうなるでしょうか。今のところ、特別に明るくなると予想されている彗星はありませんが、スワン彗星がそうだったように文字どおり「彗星のごとく」現れるものに期待したいものです。

さて、今月は1等級にまで増光している彗星があります。それだけ明るければ大彗星と呼ぶにふさわしい…のですが、残念ながらこの彗星、マックノート彗星(C/2006 P1)は太陽のすぐ近くを通過中なので地上からの観測はとても難しくなっています。

その代わり、マックノート彗星は13日から15日頃に太陽観測衛星SOHOのカメラの視野内を通過する見込みです。このカメラの画像はインターネットでリアルタイムで公開されています。太陽のすぐ近くを通過する彗星は、急増光したり熱で消滅したりするなど珍しい姿を見せることが多いので、ふつうの彗星とは違う楽しみ方ができることでしょう。アストロアーツニュースでも、画像を見ることができるサイトなどの情報を順次提供する予定です。

一歩進んだ、冬の星空の楽しみ方

(うさぎ座とカノープス)

1月20日午後10時、東京から見たうさぎ座とカノープスの位置。クリックで拡大(ステラナビゲータ Ver.8で作成)

日が沈んで薄明が終わると、明るい冬の星座が東の空で輝いているのが目に付くようになってきました。冬の星座は明るい星が多いので、1等星をつなぐ「冬の大三角」や「冬の大六角形」を探すのが一般的です。しかし、冬の星座は派手なものだけではありません。肉眼で見える星がほとんどないものもあれば、ほかの季節であればよく目立つような星座もあります。たとえば、オリオン座の真下にある「うさぎ座」は、3等星と4等星がまとまっていて、意外と見つけやすい星座です。

さらに、シリウス以外のどの恒星よりも明るいのに、ふだんほとんど見られない「冬の1等星」もあります。南の地平線すれすれにしか顔を出さない、りゅうこつ座のカノープスです。東京付近では最高高度がわずか2度で、大気の影響を受けて赤く暗くなってしまい、とても全天で2番目に明るい恒星とは思えません。しかし、別名「南極老人星」と呼ばれ一目見ると長生きできるとされる縁起のよい星でもあります。あらかじめ見える時間を調べた上で、南の地平線や水平線が見通せる場所で探してみてください。

冬の星座はもう見慣れたなと感じたら、うさぎ座やカノープスのような「脇役」の観察にも挑戦してみましょう。

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