地球型惑星の発見なるか? 天文衛星COROTの打ち上げが成功

【2006年12月28日 ESA News

中央ヨーロッパ時間12月27日15時23分(日本時間23時23分)、ヨーロッパの天文衛星「コロー(COROT)」がカザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられ、無事軌道に投入された。今後2年半にわたって、約12万個の恒星の微妙な光度変化を観測し、内部構造の分析と惑星の捜索を行う。


(探査を行う「COROT」の想像図)

探査を行う「COROT」の想像図。クリックで拡大(提供:CNES 2006 - D. Ducros)

(惑星の恒星面通過の想像図と通過時の光度変化)

惑星の恒星面通過の想像図と通過時の光度変化。クリックで拡大(提供:CNES)

(恒星内部の想像図)

恒星内部の想像図。クリックで拡大(提供:CNES)

COROT」は、フランス国立宇宙研究センター(CNES)がヨーロッパ宇宙機関(ESA)などとともに開発を進めてきた天文衛星である。口径30センチメートルの望遠鏡を搭載しており、2年半にわたって極周回軌道上から恒星を観測し続ける。

COROTとは、"Convection, Rotation and planetary Transits"(対流と回転、そして惑星の通過)の略で、衛星が検出しようとしているものを指す。

恒星の内部で震動が発生すると、表面まで伝わって光度をも変化させる。その変化のしかたを観測することで、聴診器をあてがうかのように恒星の内部構造について知ることができるのだ。これは「星震学」とよばれる研究手段で、太陽を研究する「日震学」をほかの恒星に応用するものである。逆にいえば、COROTはこれまで以上に多くの点で太陽をほかの恒星と比較する手段となりそうだ。

星震学を通して解明できる恒星の内部構造としては、中心核の大きさと組成、物質が対流(Convection)している層と動かない層の境界、そして内部の回転(Rotation)のようすなどがあげられる。

一方、恒星の周りを回る惑星が存在し、地球から見てちょうど恒星の前を通過すれば、ほんのわずかながら恒星が暗く見える。「トランジット(Transit)法」と呼ばれる、系外惑星探しの手段のひとつだ。惑星の公転周期のほかに、サイズを求めることができるのが特長である。

これまでに、地上からの観測を中心に200個を超える系外惑星が発見されている。そのほとんどが、木星のように巨大なガス惑星だ。COROTはこれまで検出が困難だった、小さな岩石惑星も発見できるほどの性能を持っている。2年半の観測期間中に10個から40個の岩石惑星が見つかり、その大部分が地球の数倍の大きさであろうと推測されるが、中には地球程度やさらに小さなものも見つかるかもしれない。

地球型の岩石惑星が発見されたならば、気になるのは生命の有無だろう。しかし、COROTが発見しやすい惑星は、公転周期が50日程度のものである。太陽系で言えば水星よりも短く、それだけ恒星に近いことになるので生命にとって好ましい環境とは言いがたい。しかし、恒星が太陽に比べて小さく暗いものであれば、液体の水が存在する可能性はあるという。

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