90億光年先に、かなり成長した銀河団を発見

【2005年3月18日 ESO Press Release

ESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLT(Very Large Telescope)とESA(ヨーロッパ宇宙機関)のX線宇宙望遠鏡XMMニュートンによる観測から、これまででもっとも遠くにある成熟した銀河団が発見された。この発見により、宇宙の成長は今まで考えられてきた以上に早く進んでいたことが示された。

(遠方銀河団XMMU J2235.3-2557のX線画像) (遠方銀河団XMMU J2235.3-2557の疑似カラー画像)

われわれから90億光年離れた遠方銀河団XMMU J2235.3-2557。(上)X線画像(中心の天体は銀河団の手前にある活動銀河NGC 7314、白い四角で囲まれているのがXMMU J2235.3-2557)、(下)疑似カラー画像。クリックで拡大(提供:(上)ESA XMM-Netwon、(下)FORS/VLT and ESA XMM-Newton)

われわれから90億光年の距離に発見された銀河団XMMU J2235.3-2557には、赤い色の楕円銀河が含まれていた。これは、銀河の年齢が数十億歳程度で、すでに年老いていることを示している。さらに、銀河団の形状が球形であることから、銀河団がかなり成熟していることもわかる。

銀河団やそこに存在する銀河が、宇宙誕生からたった数十億年後の時代にかなりの進化をとげていたこと、宇宙初期に巨大構造がすでに形成されていたことに、専門家は驚きを隠せないようだ。初期宇宙の成長スピードを実際よりも遅く考えていたのかもしれない。研究グループは今後、観測例を増やして遠方の銀河団を数多く調べることで、銀河団の形成と進化に関する研究をさらに進めたいとしている。

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