チャンドラX線観測衛星がもっとも詳細に捉えた、超新星残骸カシオペヤ座A

【2004年8月31日 Chandra Photo Album

NASAのチャンドラX線観測衛星によるカシオペヤ座Aの詳細な画像が公開された。これは、5年前の同衛星のファーストライト時と比べると200倍もの膨大なデータを含むものとなっており、10光年の範囲に広がる両極ジェットの存在が明らかにされるなど、大質量星の爆発が予測以上に複雑なものであることが示された。

(チャンドラが捉えたカシオペヤ座Aの画像)

チャンドラが捉えたカシオペヤ座A。(左)3色の疑似カラー画像、(右)多量に検出されたケイ素を強調した画像。クリックで拡大(提供:NASA/CXC/GSFC/U.Hwang et al.)

最新の画像が公開されたカシオペヤ座Aは、およそ1万光年かなたにある超新星残骸だ。最新画像はこれまでの超新星残骸の観測でもっとも詳細なもので、双極ジェットが発見され、星の中心部分から10光年の範囲に広がっていることが明らかにされた。また、ジェットから発せられるX線のスペクトルから、ケイ素原子と少量の鉄原子が検出された。さらに、かなり純度の高い鉄のガスがジェットとほぼ垂直に伸びていることもわかっている。この鉄は、星の中心のもっとも高温部分で作られたものだという。

画像の中心に見える明るい点は、超新星爆発によってできた中性子星ではないかと考えられている。高速で自転しているかに星雲のパルサーやほ座の超新星残骸と違い、カシオペヤ座Aの中性子星はひじょうに静かでおとなしいようだ。

なお、リリース元では、チャンドラX線観測衛星が1991年、2002年、2004年と捉えてきたカシオペアAの画像が動画形式で公開されている。