口径10cmの望遠鏡による、初の系外惑星発見

【2004年8月30日 CfA Press Release

口径たった10cmの望遠鏡が新たな太陽系外惑星を発見した。15年前の技術では大型望遠鏡を使っても系外惑星を捉えることはできなかったのだが、今や高価ではない小さな望遠鏡が系外惑星発見に充分貢献できるということが証明されたのである。

(系外惑星の想像図)

系外惑星の想像図。惑星が恒星より大きく見えるのは、惑星を手前にした想像の構成によるもの(提供:David A. Aguilar, Harvard-Smithsonian Center for Astrophysics)

小口径望遠鏡による初の系外惑星発見は、TrES(Trans-Atlantic Exoplanet Survey)という小さなネットワークをもつグループによってもたらされた。実際には専門家による高度なデータ分析が必要とされたが、系外惑星を発見したのは、まぎれもなく口径わずか10cmのシンプルな望遠鏡だ。

新たに発見された系外惑星は、質量・サイズともに木星程度のガス惑星で、われわれから500光年ほど離れたこと座にある恒星の周りを3.03日周期で公転している。惑星から恒星までの距離はたった650万キロメートルで、太陽・水星間の距離より短い。惑星は主に水素とヘリウムからできており、宇宙では一般的な物質から成る木星型ガス惑星と言える。ただ、木星と違う点は、恒星にかなり近い距離にあるために温度が摂氏800度となっていることだ。

さらに、TrES-1とすでに発見されている系外惑星HD 209458bとを比較したところ、興味深い点が指摘された。HD 209458bとTrES-1は共に同程度の質量なのだが、サイズではTrES-1が30パーセント以上も上回っているのだ。このような大きなサイズは、恒星に近い軌道とそれに伴う熱という理由では説明がつかないという。

TrES-1は、リングや衛星を持たないだろうと推測されているが、今後も専門家による観測が続けられる。観測からリングや衛星が発見される可能性も否定できないからだ。また、分光観測からは大気存在の手掛かりが探られ、その組成が明らかにされることが期待されている。