地球接近小惑星の脅威に備えるESAのドン・キホーテ・ミッション

【2004年7月23日 ESA News

地球接近小惑星に関する諮問委員会がESA(ヨーロッパ宇宙機関)に対して6つのミッションを提唱し、一連の研究と開発の重要性を訴えた。なかでも、ドン・キホーテ・ミッションと名づけられた計画では、直接小惑星に宇宙船を衝突させてその軌道を変えようという試みが提案されている。

(ドン・キホーテ・ミッションの概念図)

ドン・キホーテ・ミッションの概念図(提供:ESA / Deimos Space.)

6つのミッションのうち、3つは地球接近小惑星検出のための観測で、残る3つは小惑星とのランデブーを目的としたものとなっている。諮問委員会が重要視しているのはランデブー・ミッションで、そのなかでも特に重要とされるのがドン・キホーテ・ミッションだ。

このミッションでは、まず、サンチョと命名予定の探査機で充分に小惑星の探査を行う。続いて、イダルゴと命名されるもう一つの宇宙船が追って小惑星に到着し、軌道を変えるため小惑星に突っ込むのである。この突入の様子はサンチョ探査機によって観測され、地球からの観測とあわせて小惑星の軌道の変化がモニターされる予定だ。また、小惑星内部の構造などの情報も得られる。

提案された6つのミッションはすべて、地球接近小惑星による脅威の増大に対する取り組みを目的としており、今後より多くの地球接近小惑星を発見するための方法などを提案している。また、委員会を構成する専門家の一人は、大型望遠鏡の建設がさらに多くの地球接近小惑星の発見に貢献するだろうと述べている。将来的には宇宙望遠鏡の建設にも予算を組むべきだということだ。なお、ミッションが現実化の方向へ進む場合、その開始は早ければ2010年から2015年ころになるとのことである。