ヨーロッパ南天天文台のVLT、三重銀河の重力相互作用を捉える

【2004年5月3日 ESO Press Photo

ヨーロッパ南天天文台のVLT(The Very Large Telescope)により、宇宙で繰り広げられる銀河同士の激しい衝突の現場が捉えられた。これは、VLTの5周年記念日である今年4月1日に撮影されたもので、われわれから1億9000万光年離れた、くじゃく座にあるNGC 6769-71という三重の銀河の画像だ。

(三重銀河の画像)

三重銀河。(上右)NGC 6769、(上左)NGC 6770、(下)NGC 6771(提供:ESO)

上の2つの銀河NGC 6769(上右)とNGC 6770(上左)は、サイズ、明るさとも同じような銀河で、下に写っているNGC 6771は、上の銀河と比べると明るさは半分、サイズもやや小さい。どの銀河にも中心部分には同じくらいの明るさのバルジ部分があり、年老いた赤っぽい星々が集まっている。また、NGC 6771のバルジ部分はかどばった箱のような珍しい形をしている。

NGC 6769にはきつく巻きついた腕が見られる。一方、NGC 6770には大きな2本の腕のほか、黒くまっすぐな溝と、下の銀河NGC 6771に向かってカーブしているかすかな弧が見られる。また、NGC 6769と6770のガスがはがされ、両銀河を包む外層部分が新しく作られ始めている。これらの特徴は、3つの銀河の間で重力による相互作用が起きている証拠だ。NGC 6771のちりのレーンがゆがんでいるのも、重力相互作用の影響によるものかもしれない。

銀河同士の衝突は、破壊的でもあるが、同時に星の出産ラッシュを引き起す。まるで不死鳥が灰の中から蘇るように、銀河の衝突という大異変の中から、新しい星が生まれるのだ。上2つの銀河に見られる青みがかった腕は、まさに星形成が進んでいる領域なのである。

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