アンドロメダ大銀河の周りに取り残された中性水素雲の集まりを発見

【2004年2月16日 NRAO Press Releases

電波望遠鏡による観測で、われわれの銀河系のお隣にあるアンドロメダ大銀河の周りに群れをなすように存在する中性水素雲の姿が捉えられた。これらの雲は、銀河を形成する素材となるものであると考えられている。

(アンドロメダ大銀河周辺に発見された中性水素雲の画像)

アンドロメダ大銀河周辺に発見された中性水素雲。オレンジ色が今回発見された水素雲、青はアンドロメダ大銀河の水素でできた巨大なディスク(提供:NRAO/AUI/NSF, WSRT)

われわれの銀河系やアンドロメダ大銀河のような巨大な銀河の成長については、より小さな銀河との合体の繰り返しによるものだけでなく、銀河とは呼べないほど低質量で星も含まない「雲」が大銀河へと降り積もることにもよると考えられていた。これまでの研究で、銀河系の近くにいくつかの中性水素の雲が見つかっており、高速度雲として知られてきたが、銀河を構成する素材となるものかどうかについて観測的な証拠は得られていなかった。また、銀河系以外では、そのような低質量の物質はこれまで未発見だったのである。

研究グループは、中性水素に特有の21cmの電波波長でアンドロメダ大銀河の観測を行って、同様の天体がないかどうかを調べた。かすかな電波を捉え、20個の中性水素雲やフィラメント状の構造を発見し、それらの大きさや位置を測定した。そして、これらがアンドロメダ大銀河から16万光年の範囲にあって銀河の重力の影響を受けていることを明らかにしたのである。

銀河系の近くで発見されている高速度雲と似たような雲がアンドロメダ大銀河の周辺で発見されたことにより、銀河系だけでなく他の銀河にも同様の高速度雲が存在することがわかっただけでなく、そのような雲のうち少なくとも一部は銀河の素材となる物質であるという強い証拠が得られたといえる。

さらに、大銀河の周辺に低質量の雲があるらしいとわかったことで、G型矮星と呼ばれる星の化学組成の謎も解けるかもしれないということだ。銀河の周囲に発見された(重元素を含まない)雲が星の原料になっているとすれば、成熟して重元素の多い銀河中でも重元素をほとんど含まないG型矮星が生まれるだろうという説が考えられる。