ニコンの新型デジタル一眼レフカメラ「D70」正式発表〜普及型デジタル一眼レフ底辺対決!〜

【2004年1月28日 ニコン

1月28日午後、東京有楽町の国際フォーラムにて、ニコンの新製品プレス発表が行なわれ、昨年末に開発発表のみがアナウンスされていた普及タイプのレンズ交換式デジタル一眼レフカメラ「ニコン D70」が正式に発表された。

(D70の商品写真)

(提供:ニコン)

普及タイプのデジタル一眼レフでは、従来の常識を打ち破る低価格路線で、キヤノンのEOS Kiss Digitalに先行された形のニコンだが、今回発表されたD70は価格もKiss Digitalと同等な希望小売価格15万円(実売店頭予想価格12万円前後)とあって、Kissキラーといえる製品だ。ニコンとしてもまさに「社運をかけた」扱いで、会場では初めに吉田庄一郎CEO自らが挨拶を行なうほどの熱の入れようだ。さらに壇上に立つ開発関係者の口からは、随所に「C社」や「Kiss」というキーワードが飛び出し、ライバルを強く意識しているようすが印象的だった。

カメラとしての一般的な仕様については、ニコンのホームページなどを参考にしていただくこととして、ここでは天体撮影に関する情報をまとめてみよう。

まず、撮像素子はAPS-Cサイズの610万画素CCDである。これは、D70用に新規開発されたもので、ソニーとの共同開発による。ISO感度は200〜1600相当に設定可能だ。

シャッタースピードには、もちろんバルブやタイムの設定もあるので、長時間露光も可能である。残念なのは、別売でワイヤレスのリモコン(ML-M3、価格2,000円)が用意されるが、ケーブルレリーズや有線のリモートコントローラーなどの取り付けはできないという点だ。ただし、タイムを使えば、リモコンで最初にシャッターボタンを押してシャッターオープン、もう一度押すとクローズするとアナウンスされている(※カタログではシャッタースピードに「タイム」と記述されているが、会場で公開された実機サンプルでは、タイムの設定の方法が不明で確認していない)。

ノイズに関する新機能としては、D70はリアルタイムノイズリダクションを搭載した。これは画素のデータをソフトウェア的に解析し、ノイズの特徴を持つデータに関して処理を行なうというものだが、詳細は不明。また、従来機と同様に露出時間と同時間のダーク演算を行なうノイズリダクションも搭載している。ノイズリダクションはカスタムセッティングでON/OFF可能だ。

気になるダークノイズだが、実機サンプルで、ISO 1600相当、常温、ノイズリダクションONで2分露出を行なってみたが、目立つ星状のノイズなどは見られず、CCDとしてはきわめて少ないという印象である。

特筆すべきは、「天体写真撮影を考慮し、赤い光に感度域を従来の機種よりもやや長めに設定した(後藤哲朗氏・ニコン映像カンパニー開発統括部ゼネラルマネージャー)」という点である。従来のデジタル一眼レフでは、赤外カットフィルタによって水素の輝線である赤い光がカットされ、散光星雲などの写りが銀塩フィルムに劣るという事実がある。これに対応すべく、具体的に天体写真を意識して製品に反映させるというニコンの姿勢は、賞賛に値するといえるだろう。実際の天体撮影への適性に関しては、未知数だが、大いに期待したいところである。

発売予定日は3月19日。国産カメラメーカーの両雄、キヤノンとニコン(順不同)が擁する普及機、Kiss DigitalとD70による頂上ならぬ底辺対決の火ぶたが切られるのも、まもなくのことといえるだろう。

D70と同時に、標準ズームレンズ「AF-S DX ズームニッコール ED 18〜70mm F3.5〜4.5G(IF)」やスピードライト、コンパクトデジタルカメラ2機種、ハイエンドデジタルカメラなども発表されたが、こちらも興味のある方はニコンのホームページを参照していただきたい。

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