今年のしし座流星群の出現予報

【2003年11月11日 国立天文台・天文ニュース(682)

毎年のように世間を騒がせてきたしし座流星群ですが、今年も11月を迎えて、国立天文台にも問い合わせが入るようになりました。しし座流星群は、その流星のもとになる塵粒をまきちらす母親の彗星(テンペル・タットル彗星)が、太陽に近づく前後数年の期間だけ活発になる性質を持っています。1998年に近づいた母彗星の影響も少なくなり、活動のピークは過ぎて、昨年までのように多数の流星が出現するような流星雨は、今年は期待できません。

それでも星がよく見えるような場所では、一時間に数個から十個程度の出現は予想されています。しし座流星群の流星は、ふつうの流星群の流星に比べると、明るいものが多いので、たとえ少数の出現でも見やすいと思われます。今年は月明かりの邪魔があって条件は悪いですが、眺めてみる価値はありそうです。

肝心の予報ですが、最近になってめざましい進展があった新しい理論(天文ニュース(586)参照)によると、今年の出現のピークは複数にわかれています。最初のピークは、いつもの時期とはだいぶ異なり、日本時間で11月13日深夜から14日早朝にかけてと予想されています。ちょうど日本が観察には最適の場所に当たります。ただ、このピークで降ってくる流星は、500年以上前に母親の彗星から飛び出した塵粒ですので、どの程度の明るさの流星が、いくつ出現するかは全く見当がつきません。

一方、別のピークは、翌週の19日9時頃と17時頃となり、日本から眺めることはできませんが、18日深夜から19日早朝、あるいは19日深夜から20日早朝にかけて、しし座流星群に属する流星が散見される可能性は残されています。

いずれにしても、過度な期待を持たずに眺めてみるのがよいかもしれません。

<参照>

  • Lyytinen, E., van Flandern, T., Earth, Moon & PLanets 82-83, p.149-166(2000)

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