チャンドラ、おとめ座銀河団で起きた銀河のすれ違いを撮影

【2003年9月9日 Chandra Photo Album

NASAのX線観測衛星チャンドラが撮影した、銀河同士がすれ違ったようすを捉えた画像が公開された。銀河の周りに数百万度の高温ガスが広がっているようすが見られる。

(NGC4438と4435のX線画像)

NGC4438(中央)と4435(右上)(提供:NASA/CXC/M.Machacek et al.)

撮影されたのは、おとめ座銀河団に属する2つの銀河NGC4438(画像中央)とNGC4435(右上)で、ともに地球からは約5000万光年離れている。多波長の観測から得られた研究結果から、これらの銀河はおよそ1億年前にすれ違ったらしいということがわかった。すれ違った時のお互いの距離は1万6000光年ほどで、衝突というよりは軽くかすった程度だろう。写真中のお互いの銀河の距離は10万光年にまで広がっている。

このような銀河同士の相互作用は、特に銀河団のような銀河の密度が高いところではよく起こる現象だ。おとめ座銀河団の中心付近では、何百個もの銀河が時速数百万キロメートルで移動しており、それらの銀河が近接遭遇や衝突といった相互作用をするのである。NGC4438とNGC4435の場合、相互作用の結果としてそれぞれの銀河の外の方にあるガスや星が引き剥がされてしまった。NGC4438は数百万年のうちには引き剥がされた高温ガスが戻ってくると考えられているが、一方のNGC435ではほとんどの高温ガスは銀河間空間へと逃げてしまったようである。

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