宇宙で最初の星はビッグバンの2億年後に誕生

【2003年5月1日 ESA Hubble Information Centre

ハッブル宇宙望遠鏡による遠方クエーサーの赤外線観測から、宇宙で最初にできた星はビッグバンのおよそ2億年後に誕生したことがわかった。これは従来考えられていたよりもずっと早い時期であり、マイクロ波観測衛星WMAPによる観測結果とも一致するということだ。

研究グループが観測したのは、128億光年離れたところにある3つのクエーサーである。このクエーサーからの光を分光観測したところ、大量の鉄が存在することが明らかになった。鉄は星の内部で起こる核融合反応で最終的に生成される元素だが、水素から核融合反応を経て鉄ができ、恒星の爆発によってまき散らされ観測できるようになるまでに、5億年から8億年かかる。クエーサーまでの距離(クエーサーが形成された時期)と鉄が検出されるようになるまでの時間を合わせて考えると、クエーサーで検出された鉄はビッグバンの2億年後に誕生した星で作られたものだということになる。

また、今回の結果から、最初の星の誕生はクエーサーのエネルギー源となっている超巨大ブラックホールの形成よりも前だということが推測される。ブラックホールの形成についてもわかっていないことが多いが、最初の星がいつ誕生したのかという情報は有力な手がかりの一つになると期待されている。

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