ケンタウルス座Aから伸びる高エネルギーのジェット流

【2003年4月25日 Chandra Photo Album

強力な電波源として有名な銀河、ケンタウルス座Aを、X線と電波で観測して得られた合成画像が公開された。中心の超巨大ブラックホールのすぐ近くから伸びている高エネルギーのジェットの存在がはっきりと写し出されている。

(ケンタウルス座Aからのジェットの画像)

ケンタウルス座A(右下)から放射されるジェット。青はX線の観測、赤は電波の観測(提供:(X線)NASA/CXC/Bristol U./M. Hardcastle et al.、(電波)NRAO/VLA/Bristol U./M. Hardcastle)

電波による観測から、ジェットの内側の部分は光速の約半分の速度で外側に向かって動いていることがわかった。一方、ジェットから放射されるX線の大半は、ジェットが銀河中のガスと衝突して止まっている外側のほうで発生しているようだ。ジェットとガスの衝突によって強力な衝撃波が発生し、高エネルギーの粒子ができ、それらがX線を放射しているのである。

このようなジェットは宇宙のいたるところに存在し、大きいものでは長さが100万光年にも達するものもある。銀河の主要なエネルギー源として、銀河やその周辺の環境の進化に大きな影響を与えているのだ。ケンタウルス座Aまでの距離は1100万光年と比較的近いため、他のジェットに比べてより詳しく観測することができる。ジェットとガスがどのように相互作用するのか、ジェットが周りの環境の進化にどのような影響を与えるのか、研究者たちはさらに観測と解析を進めるだろう。