巨星の周りを公転する惑星系、4例目の発見

【2003年1月31日 ESO Press Release

太陽は数十億年後には巨星になって地球を飲み込んでしまうと考えられているが、このような過酷な運命がほんの数千万年後に迫っている非常な運命の惑星系が見つかった。期間がこれほど短いのは、中心の星がすでに巨星の段階まで進化しているからである。

惑星系が見つかったのはHD47536というおおいぬ座の恒星で、およそ400光年かなたにある。この距離は、これまでに見つかった惑星系のうちで2番目に遠いものだ。巨星を中心星とする惑星系は今回のものを見つけてわずかに4例しか見つかっていないが、その中でもHD47536は飛びぬけて大きく、直径が3300万km(太陽の23.5倍)もある。

今回の発見は、1999年から行なわれていた巨星の分光観測の中で行なわれたものだ。南天の80個ほどの巨星のうち、およそ70%の星で見かけの速度が変化しているようすが観測された。見かけの速度が変化する理由には恒星自体の脈動(膨らんだり縮んだりする現象)などの原因が考えられるが、特にHD47536の場合、その速度の変化は惑星が存在しているために起こっていると考えられている。計算によれば、惑星の質量は木星の5倍から10倍で、恒星から3億km(太陽と地球の距離の約2倍)ほど離れたところを712日で公転している。中心の巨星HD47536が膨張していくと、数千万年のうちには惑星が飲み込まれてしまうことになるだろう。

この発見により、巨星の周りを公転する惑星探しに対して今まで以上に期待が持たれることになりそうだ。また、いくつかの巨星ではリチウムが多く見つかっている。恒星の進化の早い段階でリチウムのような軽い元素はなくなってしまうため、巨星にそのような元素が見つかることは研究者たちを悩ませてきたが、今回の発見で、巨星の周りを公転する惑星を飲み込んだときに惑星から供給されたという可能性が出てきた。まだ4例しかない巨星の惑星系だが、今後多くの例を見つけることで、その形成と進化について詳しくわかってくるだろう。

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