【投稿画像集】土星とかに星雲の大接近を捉えた

【2003年1月5日 アストロアーツ】1月14日更新

今日1月5日ごろ、土星とおうし座の超新星残骸M1(かに星雲)が大接近している。望遠鏡で見ると、かに星雲の前を土星が通過していくように見えるはずだ。今夜9時ごろに土星はかに星雲から離れてしまうが、それでも10日ごろまでは両者の間は30分角以内とひじょうに接近している。

この現象は、かに星雲に対して土星が明るすぎるため、写真やビデオで撮影するよりも望遠鏡などで実際に見るほうがわかりやすい。しかし、なかなか見られない現象なので、写真やビデオでの記録に挑戦してみるのも面白いだろう。

以下、皆様からお送りいただいた作品を紹介しよう。


(渡部剛氏撮影の土星とかに星雲の接近の画像)

撮影者:
渡部 剛
撮影日時:
2003年1月2日 20時30分、露出 45分
撮影地:
静岡県 朝霧高原
撮影機材等:
PENTAX 125SDP + 三ツ星 SELFISH6×9、タカハシ EM-200、ST-4によるオートガイド、エクタクロームE100S(+2増感)、トリミング
●撮影者コメント:
今年最初の遠征での撮影です。望遠鏡を通して肉眼でも、カニ星雲の姿も見ることができました。土星が露出オーバーになるのは覚悟の上でカニ星雲の適正露出を目指してみました。

(瀧本郁夫氏撮影の土星とかに星雲の接近の画像 1) (瀧本郁夫氏撮影の土星とかに星雲の接近の画像 2)

撮影者:
瀧本 郁夫
撮影日時:
(1枚目)2003年1月6日 (土星)21時1分4秒、露出 0.1秒、(かに星雲)21時7分29秒、露出240秒
(2枚目)2003年1月7日 (土星)21時32分58秒、露出 0.1秒、(かに星雲)21時38分51秒、露出 480秒
撮影機材等:
TAKAHASHI FC-100、直焦点、MUTOH CV-04冷却CCDカメラ(-15度に冷却)、それぞれ同一フレームサイズで撮影し、ステライメージ3で処理(合成方法は差の絶対値)
●撮影者コメント:
(1枚目)土星とかに星雲がくっついて、かに星雲が見えにくい。
(2枚目)土星とかに星雲がだいぶ離れた。土星本体とかに星雲同時表示では差の絶対値で合成した方が、コントラストが付いて見易くなるようだ。

(田中一幸氏撮影の土星とかに星雲の接近の画像 2)

撮影者:
田中 一幸
撮影日時:
2003年1月8日 0時21分、露出 8分
撮影地:
東京都稲城市
撮影機材等:
8インチ シュミット・カセグレン望遠鏡、×.63レデューサー、Double PL relay system、Apogee AP2Ep、フィルター(Hα + IDAS Partial ND)
●撮影者コメント:
IDASの部分的NDフィルタ(パーシャルNDフィルタ)を使って土星をマスクし減光させて撮影しました。このフィルタを望遠鏡の1次焦点位置に配置し、2個のPLアイピースを使ってマスクと映像をリレーしてCCDに再結像させています。
Double PL relay system というのはPLアイピースを2つ組み合わせた1:1リレー光学系のことです(田中さんのサイトから光路図を参照できます)。

(山田哲司氏撮影の土星とかに星雲の接近の写真)

撮影者:
山田 哲司
撮影日時:
2003年1月3日 1時59分58秒、露出 30秒
撮影地:
兵庫県佐用町 西はりま天文台公園
撮影機材等:
望遠鏡(D=125mm fl=800mm F6.4)、BJ-41L
●撮影者コメント:
今年の初星見と望遠鏡のファーストライトです。当日は雪が降ったり、曇ったりで散散な日でした。雲間からちょこっと顔を出したので望遠鏡を向けて見ました。

(奥田功氏撮影の土星とかに星雲の接近の写真)

撮影者:
奥田 功
撮影日時:
2003年1月7日 1時34分、露出 5分
撮影地:
千葉県浦安市
撮影機材等:
BORG 100ED(D=100mm fl=640mm F6.4)、BITRAN BJ-41C冷却CCDカメラ、IDAS LPS-P1フィルター
●撮影者コメント:
天候は曇りで雲の切れ間を狙った撮影のため、1枚しか撮影できませんでした。

(佐藤崇氏撮影の土星とかに星雲の接近の写真)

撮影者:
佐藤 崇
撮影日時:
2003年1月6日 19時2分、露出 1分×4コマ
撮影地:
宮城県仙台市
撮影機材等:
ニッコール(200mm F4開放)、高橋 EM200赤道儀にてガイド
●撮影者コメント:
5日の未明にセレストロンC8(セレストロンC8、レデューサ ×0.63と×0.85併用)BJ-32Cで撮影に挑戦してみましたが、光度差が著しい両者が重なっているため、うまく撮影することができませんでした。明るい土星の視直径を抑えるとかに星雲への光のかぶりを抑えることになると考え、200mm望遠で撮影したところ土星とM1を写し出すことができました。土星とM1の間に光っているのは、土星の衛星タイタン(Titan)と考えられます。

(太田輝章氏撮影の土星とかに星雲の接近の動画)

(こちらはgif形式の動画です)
撮影者:
太田 輝章
撮影日時:
2003年1月1日 20時16分、4日 20時29分、6日 20時37分、露出 各60秒
撮影地:
大分県大分市
撮影機材等:
14cmネオアクロマート(fl=800mm)、LV25mmにて拡大、ATLUX赤道儀、Nikon COOLPIX995(ISO 800)
●撮影者コメント:
3日分の移動の様子をGIFアニメ化してみました。収差があるため星の位置が一致していませんが、移動の様子が分かりやすいと思います。

(田中一幸氏撮影の土星とかに星雲の接近の画像)

撮影者:
田中 一幸
撮影日時:
2003年1月6日 0時31分、露出 640秒
撮影地:
東京都稲城市
撮影機材等:
8インチ シュミット・カセグレン望遠鏡、×.63レデューサー、Apogee AP2Ep、ナローバンドフィルター(Hα、OIII、SII)、ABFによるブルーミング除去
●撮影者コメント:
かに星雲の輝線だけを透過させ土星の明るさを軽減するために、ナローバンドフィルタを使ってます。単なる2天体の見かけ上の重なりですが、両者ともメジャーな天体なだけに何か不思議な感じを受けます。

(藤井律男氏撮影の土星とかに星雲の接近の画像)

撮影者:
藤井 律男
撮影日時:
2003年1月1日 21時30分、露出 60秒
撮影地:
岡山県笠岡市
撮影機材等:
望遠鏡(D=125mm fl=800mm F6.4)、CV-16L(2×2)
●撮影者コメント:
M1と土星を同時期に視野に収めることはできるのか挑戦してみましたが、残念ながら同一フレームでの撮像は輝度差があまりにも大きいためダメでした。そこで少し土星をずらせて撮像してみました。

(米山誠一氏撮影の土星とかに星雲の接近の画像)

撮影者:
米山 誠一
撮影日時:
2003年1月2日 21時18分〜27分、露出 60秒×4コマ
撮影地:
神奈川県横浜市金沢区
撮影機材等:
望遠鏡(D=200mm fl=800mm F4)、FujiFilm FinePix S2 Pro(ISO 800)、直焦点撮影、4,256×2,848ピクセルの画像をリサイズ後トリミング
●撮影者コメント:
夜空の明るい横浜では、眼視ではカニ星雲を確認出来ませんが、FujiFilmの一眼レフデジカメFinePix S2 Proで撮影した結果、仲良く並んだ土星とカニ星雲が写りました。
土星を適正露出で撮影し合成した画像。土星の露出時間 1/60秒)

(大貫弘毅氏撮影の土星とかに星雲の接近の画像)

撮影者:
大貫 弘毅
撮影日時:
2003年1月1日 19時40分、露出 5分
撮影地:
茨城県 里美牧場
撮影機材等:
BORG 125EDF4(500mm、35mm換算750mm)、FinePix S2 Pro(ASA 400)、高橋 P2赤道儀にてノータッチガイド
●撮影者コメント:
元旦早速FinePix S2 Proの試し撮りに出かけましたが、21時頃から曇りはじめ、挙句に雪で早々に撤退しました。5分の短時間露出で済むFinePix S2 Proはノータッチ前提のため、架台も一回り小さいもので良く、撮影効率が上がります。

(瀧本郁夫氏撮影の土星とかに星雲の接近の画像 1) (瀧本郁夫氏撮影の土星とかに星雲の接近の画像 2)

撮影者:
瀧本 郁夫
撮影日時:
(1枚目)2002年12月31日 (土星)0時33分21秒、露出 0.1秒、(かに星雲)0時37分10秒、露出24秒
(2枚目)2003年1月2日 (土星)20時37分51秒、露出 0.1秒、(かに星雲)20時34分29秒、露出 24秒×5枚
撮影機材等:
TAKAHASHI FC-100、直焦点(1枚目はレデューサ併用)、MUTOH CV-04冷却CCDカメラ(-15度に冷却)、それぞれ同一フレームサイズで撮影し、ステライメージ3で処理(合成方法は差の絶対値)
●撮影者コメント:
M1と土星を同時期に視野に収めることはできるのか、挑戦してみました。残念ながら、同一フレームでの撮像は輝度差があまりにも大きいため、ダメでした。
(1枚目)輝度差の大きい対象を同時に捉えることができず、敢えて合成を試みる。(フィルターでの減光:適当な濃度のフィルターが見つからず、また同時に捉えても、おそらく不自然な感じとなる。)
2枚目を「加算平均での合計」で合成したもの。コメント:自然な感じに近づくが、かに星雲が暗くなってしまう。自然な感じでは加算平均で、土星本体とかに星雲同時表示では差の絶対値で合成か?)
2枚目でかに星雲をカラーにして別途合成したもの。コメント:かに星雲(カラー)を別途合成した物も作成しましたが、なかなか良いものです。

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